子どもの命より出玉優先?真夏のパチンコ店で起こる不幸な車内死 救出のため車のガラスを割るのもやむなしでは
毎年、夏場になると全国各地のパチンコ屋の従業員は、余計なタスクを一つこなさなくてはならなくなる。暑い駐車場の見回りだ。皆さんもご存知だろうけど、パチンコ屋に停まる乗用車には、ごく稀に子供が取り残されているケースがある。車内に放置され命を落とした子供はこれまで何人もいるので、その防止のためだ。
7月21日にも「朝日新聞デジタル」が、真夏のパチンコ店の駐車場に置き去りにされた子供の記事を報じた。
千葉県八千代市のマルハン八千代緑ヶ丘店では昨年夏、車内でぐったりした女児を、たまたま従業員が発見したという。当時、気温は30度を越えており、店はすぐに店内放送で女児の親を呼び出し、警察にも通報した。
このときは、発見から10分程度で両親が戻ってきて大事には至らなかったそうだが、この両親の言い分が呆れる。「こんなことで子供は死にません」と、いらだった様子で話したというのである。
「救出のため、窓ガラス割るかも」というお知らせに「託児所作れ」と批判が出る地獄
マルハンは昨年春、子供の車内放置事故を防ぐため「救出のため、車の窓ガラスを割る場合があります」と記したポスターを用意した。命は大事だし、これは当然の対応だろう。店側にすれば、自店の駐車場で子供が熱中症で亡くなるなんてことがあったら、客足にも響く。
ところが、今年5月にこのポスターがネットで話題になると「(勝手に)割っていいのか」や「託児所を作れ」という批判が寄せられたというのだから笑えない。万が一の事故を防止するための対策に、こんな意味不明な批判をぶつけるのは正直、まともな人間の所業ではない。
そうそう。パチンコ店での車内放置と言えば、僕も過去に目にした。そのときは立体駐車場の車内に子供が放置されていたのだけど、真夏の昼下がり、当然車内は蒸し暑くてやってられない。そんな状況で男児がメソメソと泣いていたのだから、まあなんとも気の毒だった。
既に従業員と警備員が周りにいたため、僕はそのまま家に帰ることにしたが、その日僕がパチンコ店で目にした中で一番不幸な人は、彼だったに違いない。
そもそもおかしいのはパチンコ店みたいな場所に子供を乗せた車でノコノコやってきて、車内に放置する親である。託児所を作れという意見だって、何でわざわざ敷地内に託児所を作るのかという話だろう(もっとも、パチンコ店によっては託児所を併設しているケースもあるが)。
子供の命と比べれば、ガラスの1枚や2枚、犠牲にしたってちっとも高くないはずだ。