朝起きられない、頭痛や倦怠感…サボりと誤解されがちな思春期の「起立性調節障害」 尾木ママは学校の対応に怒り
番組では、中3から発症した女の子が経験を語りました。朝起きると吐き気や頭痛がするため、小児科を受診しましたがよくなりません。やがて、朝起きると強いめまいを感じるようになっため、耳鼻科で検査を受けると「起立性調節障害」と診断されました。彼女は、苦しみをこう語ります。
「普通に高校に行って勉強して帰るという生活を送りたいのに、家でダラダラしているみたいで置いていかれるような気持ちになっちゃうことが多いです」
お母さんは、家族の中でも病気知らずの娘がと信じられない様子でした。表に見えないため、「根性で起きなさい」と責めてしまうことも、いまだにあるそうです。
起立性調節障害は思春期の子どもに多く、「朝起きられない、夜寝られない、倦怠感、イライラ、頭痛、めまい、立ち眩み」などの症状が特徴です。中学生のおよそ1割がこの病気で苦しんでいるといいます。
大阪医科大学・小児科医師の吉田誠司さんによると、「一般にあまり認知されておらず、医師の間でも知れわたっていると言い切れない」そうです。原因は、自律神経がうまく機能せず、起立時に血圧低下や脳血流の不足が起こること。思春期は自律神経のバランスが崩れやすいため、症状が出やすいといいます。吉田医師は、「不登校になっている子の3~4割はこの病気だと言われていますね」と話します。
教師も無理解「がんばればできるんじゃない?」 不登校に繋がるケースも
治療法は、病気を理解し生活習慣を改善する、心理的ストレスを減らすなどがあり、焦りは禁物のようです。しかし子どもにとってつらいのが、学校に行きたいのに行けないという状態です。先生によって理解や対応が違うことが、問題を深刻にすることもあります。
体育はできないと言っているのに「がんばればできるんじゃない?」と言われたり、同級生にサボリだと思われたり。こうした状況が重なると、症状が落ち着いてきても不登校のままというケースも出てきます。
ある保護者は、「1年目は理解してくれる先生だったが、担任が変わると『病気が治って良くなったら来てください』とか、なぜか『病気の説明は個人情報だから(生徒たちに)説明しません』と言われてしまった」と肩を落とします。サボリではないと友達に理解してもらうためには、先生の説明がなくてはならないはずで、残念な対応です。
教育評論家の尾木直樹さんは、「先生によって対応が違うって、僕からすると何やってんのか」と憤ります。
「同じ情報を共有して、その子たちのケアに当たるってことが、学校の本来の姿なんですよね。なにしてるんですかね」
吉田医師は、「身体を動かさないと身体機能が上がっていかないので、少しでも登校できるようにしたほうがいい」とのこと。「治ってから来い」はお門違いの言葉なのです。一方で、学校に診断書を出すことで理解が得られたという保護者もいました。
この病気は、高校のうちに自然と治ることが多いとのことでしたが、親としては進路に関わる大事な時期で、焦りが募ってしまいます。それでも、子どもはただでさえ学校に居場所を作れず悩んでいるのに、家でも追い込んでしまえば問題はもっと深刻化してしまうでしょう。
最後に尾木さんは、全国に起立性調節障害の「親の会」もあるので、親も孤立しないよう「繋がってくださいね」と呼び掛けていました。