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「え、お給料って払わなきゃいけないの?」ブラック企業ボードゲームで魔法バトルを展開してみた

『まじかる☆ベーカリー~叛逆の魔法少女~』

『まじかる☆ベーカリー~叛逆の魔法少女~』

ブラック企業に関する話題があとを立たないが、その影響はボードゲームにも現れており、ついにブラック企業をテーマにしたゲームが登場した。『まじかる☆ベーカリー』シリーズというもので、商品サイトでは以下のように説明されている。

「魔法少女のコロネ=ブロートちゃんが、パン作りを通じて社会のブラックさを学んでいくハートフルなボードゲームシリーズです」

シリーズの中でも昨年11月に発売されたシリーズ3作目『まじかる☆ベーカリー~叛逆の魔法少女~』(価格1980円)は”歴代最高のブラック度”とされている。

パッケージには可愛らしい魔法少女が描かれているが、帯には「え、お給料って払わなきゃいけないの?」と記されており、どうやら給与未払いに関するボードゲームのようだ。

ブラックパン屋の店長「それはできないんじゃなくてやってないだけでしょ?」

ゲームの舞台は魔法が存在する世界で、魔法でパンを作る街で一番大きなパン屋。バイトは「店長、わたしたち、お給料もらってないよ……」と嘆くが、店長は、

「あんなに素直なバイトちゃんがお金をせびってくるようになっちゃった! 目を覚ましてあげなきゃ!」

とまったく悪びれない。テーマもさることながら、キャラクター設定も面白い。キャラクター3人はいわゆる美少女キャラで、説明書では店長のコロネ=ブロートについて、

「とっても素直で情熱的。お店の売上を第一に考えるあまり、ちょっぴり過酷な労働を従業員に強いることも。好きな言葉は『努力』」

と書いている。典型的なブラック経営者のようだ。ほかには、店長から支給されていた売れ残りのコッペパンを給料だと感じていたバイトもいる。抜けているどころではない。

バイトの相談に聞き耳を立て、魔法を組み立てていく

ゲームはプレーヤーがバイト役(1~3人)と店長役(1人)に分かれ、給料の支払いを巡って魔法バトルをする、というもの。勝負は最大5ラウンドで、バイトは最大10回攻撃できる。うち3回勝利すれば給与が支払われバイトの勝利。

今回は筆者が店長役となり、2人の編集部員にバイト役をやってもらった。ゲームはカード対戦式で、バイトは相談して2枚のカードを裏向けにして出す(2回攻撃できる)のだが、

「最初はスタンダードにこの魔法で行きます?」
「じゃあもう1つの魔法はこっちの方がいいかな?」

など相談できる。仲良さそうに話し合っている姿を見ていると少し疎外感を覚えた。しかしブラックパン屋の店長としてこの会話に聞き耳を立て、どのような魔法を出してくるのかを読む。

バイト側の手元には「ファイア」「ウォーター」「リーフ」「ライトニング」「魔法失敗」のカードが各2枚、計10枚配られる。「ライトニング」は2枚揃えて出した時、店長が使える基本どのカードにも勝つ上流魔法「ダークソウル」に打ち勝つことができる。

店長は「ファイア」「ウォーター」「リーフ」に加え、3つの上級魔法のうち2つがランダムに配られる。筆者の手元には「ダークソウル」と「ランダム」(バイト側に「魔法失敗」を含め2枚同じカードを出された時以外は勝つ)がある。

バイトが魔法(手札)を出した後、店長も迎撃

バイトが魔法(手札)を出した後、店長も迎撃

なお、カードを出す時、ファイアを出しながら「ウォーター!」などと叫ぶことも可能だ。相手を混乱させることができるので、積極的に叫んでいきたい。

筆者「(『スタンダードにいきましょう』ということは、多分ライトニングを出すことはないだろう。こちらの持ち札を特定するために、例えばファイアとウォーターといった異なるカードを出してくるのでは? じゃあランダムを出せば勝てる……!)」

と、店長もカードを1枚裏向けにして出す。そしてバイトのカードをめくり、自分だけ確認する。彼らが出したのは「ファイア」「ウォーター」。「ランダム」は2枚異なるカードを出された場合、勝利となるのでこの回は店長である筆者の勝利。

店長は勝ち負けをメダルで伝える

店長は勝ち負けをメダルで伝える

この結果から店長は、バイト側が出したカードの上に「バイトの勝利」か「バイトの敗北」のメダルを置く。無言で「バイトの敗北」メダルを2枚置くと、

「え!? どういうこと!?」
「もしかして初回で”強がり”では!?」

とバイトが叫ぶ。”強がり”とは、店長が1回だけ使える必殺技で「負けていても自分が勝ったと言い張れる」というもの。そう勘ぐられても、1ラウンド目は店長である筆者の勝利なのだ。ほくそ笑んだとき、ちょっとブラック企業経営者の気持ちがわかった気がする。

約1万個も出荷された人気作品 「キャラクターが可愛い」という声も

どれが強がりなのか会議するバイトたち

どれが強がりなのか会議するバイトたち

最終的に”強がり”を除くと、バイト側の勝利は1回だけ。強がりをした店長は「強がりました」と最後に告白しなければならない。これに対して、バイトは再度相談をして「店長がどのラウンドで強がったか」を見抜く。これで見抜かれてしまうと店長の負けとなる。

しかしバイト側は「1ラウンド目、強がりましたね……?」と指摘、筆者の勝利、つまり給与未払いが確定した。強がったのは2ラウンド目だ。たぶんバイト側がもっと小声で相談していたら店長(筆者)は負けていただろう。しかしここで従業員の会話に聞き耳を立てて遠慮なく繰り出す魔法を決めるのがブラック企業の経営者だろう。

同社広報担当者によると同ゲームは現在、約1万個出荷された。シリーズのファンがいるため継続的に購入する人もいるため「売れ行きは好調で、初動の勢いは他のゲームと比べて圧倒的に良かったです」と明かす。

「ゲームシステムとして面白い、キャラクターが可愛いという声が寄せられています。また『店長ちゃんと給料払ってあげて!』『わたしの所のバイトにはちゃんと給料払われた!』といった声も寄せられていますね」

実際にブラック企業勤めの場合は一刻も早く逃げ出してほしいが、ボードゲームならブラックを味わってみるのもいいかもしれない。店長側でプレイすると搾取側に立てるのも新鮮だった。

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