「消えると思う芸人ランキング」3年連続1位だった小島よしおが今でも「おっぱっぴー」を続けられている理由
『そんなの関係ねぇ!』から14年。お笑い芸人・小島よしおはいま、講演会で全国各地を飛び回る多忙な日々を送っている。かつて”一発屋”と呼ばれ苦しんだ時期もあったが、その後も同じネタを磨き続け、現在は「拳を振り下ろしたときの瞬間最大風力は過去最高」というキレ味で、令和の子どもたちにもウケているという。何が起きたのか、本人に聞いた。(取材・文:石井 隼人)
スランプを救った「子供向けのイベント」
2007年、小島は海パン一丁での『そんなの関係ねぇ!はい、おっぱっぴー!』で大ブレイク。流行に敏感な子供たちにすぐさま広まり、PTAから「子供たちに注意しても”そんなの関係ねえ!”と言い返される!」とのクレームもあったほどだ。新語・流行語大賞ではトップ10入りも果たしている。
そこから一転「来年消えると思う芸人ランキング」で3年連続1位となるなど、すっかり”一発屋”のレッテルが貼られてしまう。
それでも小島は海パン一丁で拳を振り続けた。10年以上経った今も講演会に訪れた親子連れと一緒に「そんなの関係ねぇ!」と叫んでいる。”一発屋芸人時代”を全く知らない子どもたちにもウケているのだ。
新ネタを模索した時期もあった。だが思うようにいかない。小島は苦笑いしながら、そんな”一発屋”レッテル期を振り返る。
「僕が芸人として生きづらいにもほどがある!と感じたのは、今から11年前くらい。3年連続で『来年消えるお笑い芸人』の上位に位置していた時期です。精神的にもいい状態ではありませんでした。僕が一発屋になるのを阻止するサイトをファンの方が立ち上げてくれたこともありましたが、立ち上げた翌年に更新がストップ。阻止しきれなかったんでしょうね」。
そんなスランプを救ったのは、子供向けのイベントだった。大学時代に教員になる夢を抱いていた小島は、体を動かす遊びや絵本の読み聞かせなど、子供の教育に絞った活動を開始。これがジワジワと評判を呼んだ。
「最初の頃は関係者の子供を含めて10人くらいしか集まりませんでしたが、各所で『僕の子供向けイベントは毎回大盛り上がり!』とウソを言い続けていました。同時に内容もきちんとブラッシュアップしていったら、徐々に参加者も増えてきた。僕のブレイク当時に10代だった人が、親になって子供を連れてきたりすることも多くなって、今ではみんなで『そんなの関係ねぇ!』で大盛り上がり。ウソがホントになったんです」。
2016年には『R-1ぐらんぷり』で決勝初出場という返り咲きを果たした。イベントが軒並み自粛となったコロナ禍をきっかけに、YouTubeチャンネル『小島よしおのおっぱっぴー小学校』をスタートさせると、こちらも話題を呼び、登録者数は12万人を超えた。
ネタに対する姿勢も大きく変化。イベントや講演会で披露する際には「これが最初で最後かもしれない!」と、全力で拳を振り下ろしているという。
「”一発屋”と呼ばれた時期には、ネタに対して自分の中に焦りや飽きがあって倦怠感もありましたが、今では『君と一生添い遂げるよ!』という愛しかない。拳の一振り一振りをおろそかにはできないという考えに変化して、肉体的なキレも20代の頃より断然いい。体の太さや体幹も今の方が上で、拳を振り下ろしたときの瞬間最大風力も過去最高。まさに継続は力なりです」。
小島にとって『そんなの関係ねぇ!』は一生モノ。人生の夢は、棺桶の中での『おっぱっぴー!』だ。
「僕が死んだ後もフレーズとして皆さんの心を明るく照らしたい。そのためにはお笑い芸人としてネタをやりつつ、教育にも環境にもプラスになるような活動もして、子供たちの心が明るくなるようなことを発信していきたいです」と今後増々意気込んでいる。
ASMRや音を楽しむアプリZOWAで配信中の『生きづらいにもほどがある』では、心理学監修の藤井靖氏と共にアイドルたちの悩みにアドバイスを送る。小島は「アイドルたちが抱える悩みというのが、結局自分の悩みにも繋がっているところもあったりする。心理学監修の藤井靖先生が論理的なアプローチで解決法を提示してくれるのも面白い」とアピールしている。