「緊急事態宣言」や「まん防」が終了し、都心に混雑が戻ってきた。週末の新宿・渋谷はめちゃくちゃ混んでいる。コロナ前よりはマシかもしれないが、それは「超ウルトラ混雑」が「ウルトラ混雑」になったぐらいのもの。気分転換にでかけたいが、人混みで疲れてグッタリなるのもなあ……と尻込みする人は多いだろう。
さて、そんな人におすすめの週末お出かけスポットは、実は都心にいくつもある。その一つが今回紹介する「日本橋」だ。(文:昼間たかし)
単なるオフィス街ではない!
東京・日本橋といえば「お江戸の中心」として栄えたエリア。今は基本的にオフィス街だが、昔ながらの老舗商店やデパートなどの商業施設もしっかりと存在感を出している。
平日はいわゆるビジネス街。オッサンが多すぎて「サラリーマン街」みたいな言葉がしっくり来てしまうような雰囲気もあるのだが、彼らは週末にはほぼ絶滅する。何が起きるかというと、単純にありとあらゆる場所が「空いていて快適」になるのである。
そもそも日本橋三越・日本橋高島屋というデパートを中心に、日本橋コレド、コレド室町など、オシャレで高級な商業施設が立ち並ぶエリア。10代には刺激が足りないかもしれないが、落ち着いて買い物・散策・デートをしたいならこれ以上ない場所だ。
「ご飯」も充実しすぎている。老舗を挙げるだけでも、そばの名店・室町砂場(創業明治2年)、うなぎ・喜代川(同明治7年)、洋食の小春軒(同明治45年)。日本橋弁松総本店(同嘉永3年)、山本山日本橋本店(同元禄3年)などなど数え切れない。
最近はアンテナショップ集中地帯にもなっている。三重テラス・富士の国やまなし館。奈良まほろば館、日本橋長崎館などなど……全国各地の物産が日本橋に集まっているのだ。おすすめなのは、コレド室町テラスにある誠品生活日本橋。台湾発祥の書店を中心としたセレクトショップで、書籍以外にお茶や文具、台湾食品や雑貨などほかでは見ないアイテムが集まっている。
古い街ゆえに「パワースポット」も事欠かない。コレド室町の裏にある福徳神社は江戸時代には富くじで知られた神社。今は金運の御利益を求めて参拝者が絶えない。少し歩いて小網神社は都内屈指の厄除けスポット。日本橋界隈で、ここだけは休日になると行列がある。
最近誰もが参考にする、食べログ高評価のレストラン・カフェとなれば、もう数限りない。もし、これが新宿や渋谷にあれば入るだけで30分待ち、店内も混雑……クラスの店であっても、週末の日本橋なら待たずに入れて、余裕のある時間を楽しめたりする。
ハメを外して騒ぐ酔っぱらい集団や、列に割り込む恥知らずのように、マナーの悪い客をまず見かけないのも嬉しいポイント。ようは「民度」が高いんだ。たとえば、豊洲のららぽーと、南砂町のスナモあたりにでかけたその足で、日本橋に来てみるといい。混雑ぶりも客層も、ホントに同じ東京なのかと驚くレベルである。
午前中の快適さがヤバい
中でも狙い目なのが、まだ人の少ない午前中だ。
まず買い物が快適すぎる。デパートやショッピングモールには、人気セレクトショップやブランドが軒並み入っている。同じ商品を見るのでも、人が少ないのでラクだし、試着もしやすく、他店では売り切れたサイズが残っていたりする。
カフェも空いていて、新宿・渋谷あたりのように席を求めて右往左往しなくてもよいし、特別高いわけでもない。日本橋駅至近のゴディバカフェは、アイスコーヒーにチョコレートがついて350円。テラス席もあるから感染対策もバッチリだった。
散歩する場所にも事欠かない。日本橋は橋自体が名所だし、そのたもとには日本の道路の出発点である「日本国道路元標」のような、歴史好きの心をくすぐるポイントが山ほどある。日本橋高島屋は、21世紀の今もエレベーターガールを配置している。昭和にタイムトリップした気分になれるかもしれない。エレベーターガールと記念写真は撮れないが8階にはオブジェがある。
なお日本橋高島屋では、土日祝日にはエレベーターの1台はベビーカーの家族連れなどの優先にしてある。コロナ禍で子供連れで出かけるのが難しいというファミリーなら、行くべきはやはり日本橋だ。なお、日本橋三越にはそうしたエレベーターの設定はないが、ベビーカーに場所を譲っているのをよく見かける。街の余裕ある雰囲気が、人の心も優しくするのか。
繁華街の便利さと、快適さを兼ね備えた奇跡のエリア。それが日本橋だ。今週末あたり、かつて江戸の中心だった底力を味わってみてはいかがだろうか?