記念日かぶりすぎ! 10月1日は「日本酒の日」で「コーヒーの日」で「日本茶の日」
まずは「日本酒の日」。
10月といえば、米の収穫が終わり、酒造りが始まる時期。酒造りは年をまたいで行われるため、明治時代の「酒税法」で「酒造年度(毎年10月1日から翌年9月30日まで)」というコンセプトが導入された。
酒造年度の期間は1965年に、当時の実態に合わせて「毎年7月1日?翌年6月30日まで」と変更された。しかし、業界では10月1日を「酒造元旦」として祝う習慣ができていたことなどから、日本酒造組合中央会が1978年、この日を「日本酒の日」に決めた。ちょうど夏が終わって日本酒需要が増え始める時期であり、キャンペーンにもちょうどよかったのだろう。
「コーヒーの日」はどうだろう。
こちらは国際コーヒー機関(ICO)が決めた「コーヒー年度」が元になっているようだ。コーヒー年度は国際コーヒー協定2022によると、10月1日から始まるという。
記念日としては、秋冬期にコーヒー需要が高まることから、全日本コーヒー協会が1983年に提唱して制定。その後94年にはICOによって「国際コーヒーの日」にもなったそうだ。
確かに秋も深まり、そろそろ温かい飲み物が恋しくなる季節である。
「日本茶の日」の由来が微妙すぎる
さて、じゃあ、日本茶はどうなのか?
調べてみると、ちょっと笑える感じだったので紹介したい。
そもそも、「日本茶の日」を記念日制定したのはメーカーの「伊藤園」だ。同社では「北野大茶湯」という歴史的イベントにちなんで、10月1日に決めたとしている。
この北野大茶湯とは、天正15年(1587)の10月1日に、豊臣秀吉が北野天満宮で催したもの。身分に関わらず参加を許すお触れが出され、大勢が参加したとされる……のだが、10日間ぶっ続けで開催される予定だったのにわずか1日で終了するなど、謎も多いイベントだ。そんなのでよかったのか?
しかも「日本茶の日」は10月31日にもある。こちらは誰がいいだしたかわからない謎な話ではあるのだが、鎌倉時代に茶を普及させた僧・栄西が茶の種子を携えて大陸から帰国した日にちなむとされる。これじゃダメだったんか……。
さて、飲料記念日が謎に固まってしまう問題は続く。翌11月1日は、「静岡市めざせ茶どころ日本一条例」によって、市の「お茶の日」になっている。「静岡茶の祖」といわれる聖一国師の生誕の日が由来だという。
さらに、この11月1日は「紅茶の日」(日本紅茶協会が制定)でもあるらしい。江戸時代にロシアに漂着した、大黒屋光太夫が女帝・エカチェリーナ2世に招かれて日本人として初めて紅茶を飲んだ、ということらしい(ほんまかいな)。さらに11月1日は全国穀類工業協同組合によって「玄米茶の日」にもなっているという。
かぶりすぎ。まあ業者が「PRしたいタイミング」は、似通ってくるということか……。