男性が一番困っていたのは「玄関ドアと室内の引き戸の開閉音」だった。
「閉まる時にものすごい勢いで閉まり、部屋が揺れるほどでした」
気を付けて閉めれば問題は無かったが、隣人は気にせず出入りのたびに「バッタンバッタン」と、大きな音を立てながらドアを閉めていた。また、このアパートでは、「部屋の壁も異常に薄かった」という。そのため生活音が丸聞こえだった。
「お隣の子どもの足音が異常なほど響いていました。他にも廊下に電気のスイッチがあったのですが、隣がそれを押すと私たちの部屋まで『カチッ』とスイッチを押す音が聞こえていました。お隣が入浴すれば、音は丸聞こえで、会話の内容も全てわかるほどでした」
子どもの足音は特に暴れていなくてもよく響くもので、生活音が大きくなるのは仕方ない部分もある。ところが、問題の隣人は周囲に気を遣う素振りを全く見せなかった。
「朝は6時頃からお隣の騒音聞こえ、夜も11時くらいまでバタバタしていたため、よく眠れず、体に異常がでてきていました」
無神経に響く音が原因で、ついに体調に異常をきたし始めた。そのため男性は「せめて扉の開閉音だけでもなんとかしてほしい」と直接お願いしに行ったという。しかし、隣人は
「うちは静かにしてるつもり」
と一点張りで、話にならなかった。管理会社に連絡して注意して貰っても、一週間ほどは静かになるもののすぐ元に戻ってしまうため、また連絡して……という無限ループだったそう。
「そこそこの生活をしたいのならそこそこお金を出さないといけないのだな」
こうした状況に限界が来た男性は、引っ越しを余儀なくされた。現在住んでいる家については「少し家賃は上がりましたが、今はとても快適に過ごせています」と満足そうだ。
「間取りと立地のみで決めてしまいましたが、そこそこの生活をしたいのならそこそこお金を出さないといけないのだなと思った出来事でした」
なお、引っ越してから1年ほど経ったある日、アパートの近くを通りがかると、隣人も引っ越していたそうだ。男性は
「もしかしたら他の人からも苦情が入ったのかな、と思ってます」
と推測していた。
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