今では「兄や姉の年収を大幅に上回ってます」幼少期から母に否定され続けた女性の回想
幼少期の記憶は、その後の人生に大きく影響する。親に言われて傷ついた言葉を忘れられない人もいるだろう。
「私が親にされて嫌だったのは『謙遜』です」
こう語る40代の女性は、自分が家の外で褒められた時に、横から「そんなことないんですう~!!」と全否定してきた母親の言動を回想した。(文:國伊レン)
「サムライのように淡々と良い評価を連発する日々」
女性は、自身の幼少期を「いわゆる『神童』のような状態」だったと表現する。
「私は幼い頃とても頭が良く、小学校の勉強はどの教科も100点、絵や音楽・作文・運動も毎年コンクールに出場し表彰」
「ただ、それをクラスメイトに自慢してはならないとも分かっていたので、態度には出さず、サムライのように淡々と良い評価を連発する日々」
だが、そんな女性を褒めてくれたのは親ではなく、クラスメイトの母親だった。
「『〇〇ちゃんは本当に何でもできて頭が良いのね!うちの子に才能を分けてほしい!』と言われる度に照れくさく嬉しい気持ちになったものです」
普段両親から褒められなかっただけに、より一層晴れやかな気持ちになっただろう。しかし、それを
「いえいえ~!!そんなことないんですう~!!」
と真っ向から否定してきたのが、隣にいる自分の母親だった。「今はもちろん謙遜だと分かっているんです」と語る女性。だが、母親のあまりにも行き過ぎた謙遜は衝撃的なものだった。当時放たれた言葉の数々を今でも覚えている。
「あの子は末っ子だから、上の子達を見て真似してるだけです。勉強だってお兄ちゃんたちが話すのを聞いて覚えてるだけ」
「あの子は頭が良いんじゃない。お兄ちゃんやお姉ちゃんが失敗したのを見て、自分はこうすればいいと要領よく立ち回ってるだけ。この子自身に才能があるわけでもないし、家で努力なんてこれっぽっちもしてないんだから」
「凄いのは上の子達なんですよ。あの子達はコツコツ努力する子だから。この子と違ってね」
「家ではいつもネズミみたいにちょろちょろして、そそっかしいし全然良い子なんかじゃないんですよ~」
反抗期を境に「愛想を尽かして勉強が嫌いになりました」
人前で謙遜するだけならまだしも、なぜか他の兄弟を褒めて自分を下げられている事に女性は深く傷ついていた。かといって家でフォローしてくれる訳でもなく「分数のテスト100点だった」「ふーん」といった具合にスルーされており
「私ってそうなんだ…私が良い成績を取ることに価値なんてないんだ…」
と、自己肯定感を失ってしまったそうだ。
異様なほど我が子を下げる母親の言動を目の当たりにして不憫に思ったのだろうか、「同級生のママ」がこっそり
「〇〇ちゃんはね、本当はすごいんだよ!おばちゃん、賢子ちゃんのこの間の作文とっても好きだな!」
と言ってきてくれたこともあり、あまりにも褒められた経験がない女性にとっては大切な記憶になっているという。
我が子を認めようとしなかった母親はその後も取り繕った笑顔で「努力家な上の子の恩恵です~この子なんて全然~」と過度な謙遜を続けており、女性は反抗期を迎えた時期を境に「愛想を尽かして勉強が嫌いになりました」と振り返った。
親元から離れて人生が好転!今では「兄や姉の年収を大幅に上回ってます」
親の影響もあり、一度は勉強嫌いになった女性。しかしある時「このままではいけない」と思い直し、大学入学と同時に実家を出ることを決意した。地元を離れて兄弟とは全く違う進路に進んだ女性は「現在は専門性が高い職業」に就き、幸せに暮らしているようだ。
「(仕事で)何をしているかを親に話してもチンプンカンプンですが、未だに地元に就職した兄と姉が立派にやっているんだと誇らしげです。さっさと距離を置いて正解だったと思います」
自分を否定し続ける存在から離れ、人生が好転したのだ。かつて「チョロチョロして真似ばかり」と言われてきた女性だが、現在の年収は「コツコツ努力の塊」である兄や姉の年収を大幅に上回っているという。
「そんな兄姉は将来の介護を期待されてドギマギしているそう。私は遠方を理由に高みの見物です。正直、心の中では見たか!と思ってます」
かつては苦労したものの、現在の生活に女性は満足している様子だ。今後は彼女を肯定してくれる人に囲まれて暮らせるよう願うばかりである。
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