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ペットなど人間と暮らしている動物は、言葉を話せなくても意思疎通ができるようになるものだ。長野県の40代女性も昔、そんな体験をしたことがあるという。
近所で生まれた「ペルシャと日本猫のハーフ」猫にレイと名付け、家で飼っていた。
「家族の中で私に一番懐き、夜は布団に入ってきて、ひとしきりゴロゴロして、暑くなると出ていく、という猫らしい行動をする子でした」
家にはレイの他にも猫がいた。女性がその猫を可愛がるとレイは嫉妬し、「シャー!」と威嚇したそうだ。確かに猫らしい猫だ。そんなところも愛おしかったに違いない。(文:天音琴葉)
「欠点は休日でも起こしにくることくらい」
レイは洋猫とのハーフだから人目を引く容姿だったのだろう。本猫も「自分が可愛い」と自覚しており、来客があると「下駄箱の上で置き物のようにちょこんと座り、褒められると満足げ」にしていたという。
レイには特技もあった。
「朝はだいたい同じ時間に起こしにきて、頬をちょんちょんする」
「欠点は休日でも起こしにくることくらい」
毎朝起こしてくれるから目覚まし時計は必要なかったそうだ。そんな賢いレイにある時お願いをしてみたという。
「冗談で『明日は早いから、1時間早く起こしてね。(時計を見せて)この針が、いつもはここ(指差しつつ)で起こしてくれるけど、明日はここ(指差し)で起こしてほしいな』と言ってから寝ましたら、翌朝本当に1時間早く起こしにきまして、びっくりするとともに沢山褒めて、ちょっと高いほうの餌をあげました」
人間の話を理解していた、女性の起きる気配を感じ起こしていた、などいろんな見方ができるが、少なくとも女性には偶然とは思えなかっただろう。
「なぜか今日は早く帰らねばいけない」慌てて家に帰ると……
家族にも「可愛い子」と溺愛されたレイだが、やはり誰よりも女性との絆が強かったようだ。
「高齢で死ぬ際には、なぜか今日は早く帰らねばいけない、そんな気がして、定時で慌てて家に帰りましたら、母が『レイが……』と泣きながら訴えてきました」
虫の知らせを感じた女性。そしてレイも、女性が帰ってくるまで待っていたのだろう。
「見ると、眠っては起きる、目を閉じては静かに息をしたり、たまに息が止まったり。慌てて抱っこして、『死なないで、もっと一緒にいようよ』と語りかけましたが、寿命には勝てず、ごろごろいいつつ、静かに息を引き取りました」
腕の中で喉を鳴らしながら安らかに亡くなったレイは幸せだったに違いない。だが女性は身を引きちぎられる思いだったようだ。
「体からだんだん熱が引いていっても手放せず、母が弔ってあげないと、と言うまで泣いていました。しばらくはペットロスに陥りました」
高齢でいつ亡くなってもおかしくないという状態だったしても、いざ亡くなると心にぽっかりと穴が空いたような気持ちになるものだ。読者の中には、ペットが短い年月しか生きられなかったという人もいるだろう。だがどんな場合も例外なく、愛情を注がれたペットは飼い主に感謝しているはずだ。
今ではすっかり立ち直った女性はこう結んだ。
「今でも凛々しい姿の写真は宝物です」
亡くなった時ではなく、元気だった時の姿をいつまでも覚えていてもらいたいだろう。そう書いている筆者も今日は昔飼っていた猫の命日だ。
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