料理の好みが夫婦で合わないと、お互い辛いものはある。しかしいまどき「母の味を習ってこい」という強制は、ますますこじれてしまう原因になるだろう。この問いかけに対するコメントは、「えーありえない」「行くわけない!」を始め、夫に対する批判が相次いだ。
「旦那さんはいつの時代の人間なのですか?そんなにお母さんの味付けが好きなら、自分が聞きに行って覚えて帰ってくればいいのに」
「本当に好きならやってくれるのでは?と言うのなら『本当に好きなら私の料理を食べて!』って言ってやれ!」
夫が料理をする人なので、「本当に好きなら自分で作るのでは?って言い返しちゃえば?」などと憤る人が本当に多い。「そういう人は結婚しなければいいのに。一生お母さんの料理食べてなさいよ」などと文句の嵐だ。「夫は72歳とかなの?」という声もあり、時代錯誤に辟易する人が目立った。中には、夫が妻の実家に行って「お義父さんに『妻子を養う苦労』を教えてもらったの?」と問い詰める声まであった。
一方で、「夫の好きな料理があるなら習いに行くかな」「私が姑の作り方を参考にすることはある。押しつけがないからできることだよね」という声も。確かに自分から習いたいとなら問題ないが、強制はよくない。これから自分たちで新しい家庭を作ろうとしているときに、実家の世界をそのまま持ち込もうとする態度にも問題がありそうだ。
「母の味」にこだわりだすと、何かとやっかいなことになる
またコメントには、「行かないよ。というか行かなかった。自然と妻の味に慣れるよ」など、母の味の継承などしていないという声が多数ある。義母も料理が苦手、こだわりがないというケースも多く、
「夫に『お母さんの味といえば?』と聞いたら速攻『ない!』と言われたので味は何も引き継いでません」
「美味しかったのでお義母さんに味付けを聞いたら『適当だしわかんない』って教えてもらえなかった」
という声もあり、皆さん意外と適当であることがわかる。筆者も日々の食事を作る立場だが、家庭料理は毎日のことなので、神経を尖らせて誰かの好みに合わせようとするのは大変だ。手作り前提の専業主婦が多かった時代とも違うので、過剰なこだわりは夫婦関係悪化の恐れすらある。
今年放送していた東村アキコ原作のドラマ、『美食探偵 明智五郎』(日本テレビ系)では、洋風のキッチンで洋食を作るのが好きな新妻に対して、醤油味でまっくろな煮物を義母がガンガン押し付けてくるエピソードがあった。それをまた夫が喜んで食べる様子が妻にとっては地獄で、やがて悲劇を生む話だ。子どもの頃から食べ慣れた味が、常に正解とも限らない。いまの時代、「母の味」にこだわりだすと、何かとやっかいなことになるようだ。