このほか投稿者が挙げたのは「婚活アプリで収入や学歴などで足切することを公言する」「女は奢ってもらって当たり前、養ってもらって当たり前みたいな認識を公言する」といった恋愛・結婚観から、
「従来型の男らしさを過度に称揚するような表現」
「力仕事や汚れ仕事、やり手がないリーダー職を男に押し付ける(PTAとか町内会とかですごいある)」
といった男性が負わされてきた性別役割分業について言及。このほか、男性同士を指して「付き合っちゃえばいいじゃん」などとするいじりは、その人たちの尊厳を損ねるだけでなく、間接的には同性愛者の尊厳も損ねると指摘している。
“従来型の男らしさ”とは、極端に言えば「男は妻子を養ってこそ一人前」とか、「組織は男が引っ張るべき」といった価値観だろうか。確かにこれを押しつけられればつらいし、いまどき性体験やモテないことを揶揄するなど、女性に対して発すれば「セクハラ」の批判はまぬがれない。それが、男性の場合は一転。それほど問題とされないことを問題視しているのだろう。
この投稿に対するブックマークは600件近く付き、コメントの多くは好意的な反応だった。
「こういうの、自分も気をつけてる。当たり前のことだと思ってたけど、気をつけてる人もいるんだよって表明したほうがいいのかもしれないな」
「こういうのを男性は不快だと思っていいんだよね。男だからこういうのに腹立てると器が小さいだのモテないだの女性から言われるから黙ってきた男性は多いと思う」
これらを女性の立場から明言したことへ称賛や、こうした価値観が広まれば特に若い世代が「本当に助かるし救われる」という声もある。こうした反響からは、わだかまりを胸の内に閉じ込めたままの男性が多いことがうかがえた。
「当事者が、うるさいと嫌われながら声をあげ続けること」が必要
一方、投稿者が挙げた例は「差別というよりセクハラ」という指摘も多い。確かにデリカシーのある大人なら、非モテいじりや交際経験の有無で揶揄するなど「しないのが当たり前、配慮すべきこと」であり、今さら感も否定できない。
しかし、常に訴え続けないと変わらないこともある。コメントには、男性が差別されてきた例として、
「法律でレイプ被害者とすら認められなかった歴史、DV被害軽視、危険な仕事やブラック企業への従事」
などを挙げる人もいた。確かに性犯罪に関する刑法は、2017年に改定されるまで被害対象を女性に限っており、明治40年の制定以来、110年ぶりに性別を問わない形に改正されたことが話題となった。明確な差別が100年以上放置されてきということだ。
投稿者は追記で、女性差別やLGBTも「当事者がうるさいと嫌われながら声をあげ続けた結果、状況が変わってきた」と説いていた。当事者が声をあげることを促す狙いもあったようだ。世間の価値観をアップデートするには、当事者が痛みを伴う声をあげる必要があるのだろう。