カップル動画の投稿はハイリスクな自己満足 勝手に拡散されて後悔している学生も
インターネットを利用する上で気をつけたいこととしては、個人情報を自分から過剰に発信しないことである。自分の顔や住所について、深く考えずにSNSや動画投稿サイトにアップロードする人もいるが、ああいうのは時に、第三者によって悪用されることもある。リベンジポルノなどはその代表例だ。
しかし、未だにこういうネットのリスクに対して無防備な人が少なくない。特に若い世代の子たちは無垢なんだか何なんだか分からないけど、無茶なことをしでかしがちだ。(文:松本ミゾレ)
「別れてから困るものは載せてないから大丈夫」というけど……?
9月28日の「あさイチ」(NHK総合)で、「なぜやる!? カップル動画」と題するVTRが放送された。
ここ最近、ネット上には交際中の若いカップルによる仲睦ましい様子を撮影した動画が、頻繁にアップされているという。
VTRに登場した高校生カップルは、ベッドの上でキスしたり、一緒にダンスを披露したりする動画を、ネットにアップしている。彼らはSNS上に数万人のファンがいるというカップル。今時の、モテそうな男女だ。動画には、アップした直後に「憧れる」「素敵なカップルですね」など何十件ものコメントが寄せられていた。
2人はネットに動画をアップして反応があることについて、「嬉しいし、楽しい」、「自分たちでやるのも楽しいし、『いいね』とか来るのも嬉しい」と話す。他の人が不快に感じないレベルの動画をアップすることを心がけているということだ。
でも、ネットには悪意を持った第三者もいるもんだ。悪意の拡散や中傷を受けることが怖くないんだろうか? この問いに対して、2人は「自分たちが載せたものだから全然大丈夫」と答えた。
スタッフが「悪い人だったら?」と聞くと、「そんなことないもんな」と返していた。「別れたらどうする?」とやや意地悪な質問も投げかけられた。彼氏は「別れないと思う」と答え、彼女は「別れてから困るものは載せてないから大丈夫」と話していた。そりゃあ結構なことである。
大体なんでカップル動画をアップするの? 意味が分からない
特集の終盤では、カップル動画を貼る理由について以下のような理由が上げられていた。
「彼を他の女にとられたくない」という理由もある。要は「私は今、こんなイケメンのカレと交際しているから、手を出さないでね」とマウンティング目的でアップする子もいるようだ。
さらに、SNSで応援してくれるファンの声に元気をもらうことを目的としているケースもあるという。恋愛は2人の間だけで完結していればそれでいいじゃないか。僕などは「なんで一般人のカップルのファンになって応援しなきゃならないんだ」と思ってしまう。
そもそもやる側もメリットがなさすぎる。ファンに応援されたり、「いいね!」がもらえるのが嬉しいなんて言って、そんなのが何の足しになるんだろうか。見ず知らずの他人に応援されるより、自分の信頼できる親友に心から応援してもらう恋愛の方が、よほど意義がある。
この放送直後、ツイッターではカップル動画をアップする若者について「やる意味が分からない」「気持ち悪い」などの否定的なコメントが出ていた。
後悔する若者にも全く同情できない件
さて、特集終盤には、以前カップル動画をネット上にアップし、数万人のファンができたものの、その後破局してしまったという男性が登場した。別れた後に元カノにまつわる画像や動画は消したが、ファンが保存しアップしたイチャイチャ画像やらが今もネット上に残っているという。
男性は現在大学生だが、知人には「こんなの残ってんじゃん」と、かつて自分が浮かれてアップした元カノとのラブラブな動画を見せられることがあるのだとか。曰く「大学の子たちには、あんまり知られたくなかったことなんで、ちょっとやっかいですね」とのことだが、可哀想だけど自業自得である。
ところで僕は、主に恋愛コラムを書いて生計を立てているんだけど、若いカップルなんて99%は数年以内で別れてしまう。別れてしまえば他人に戻り、思い出はいずれ薄まって消えていく。ネットに動画をアップするという行為は、この自然の流れにムダに逆行するようなものだ。
この大学生の男性のような思いを後々になって味わうのは辛すぎるというもの。カップル動画をアップするなんて、まだ成人もしていない男女が大半だろうけど、もしも現在社会人で、こういう動画をアップすることに憧れを抱いている方がいるなら、悪いことは言わない。絶対後悔するし、何よりイタすぎるからやめておこう。
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