サブカル女子が人生に悩んだので中野「坊主バー」で相談しに行って、一生悩むことを覚悟した話 | キャリコネニュース
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サブカル女子が人生に悩んだので中野「坊主バー」で相談しに行って、一生悩むことを覚悟した話

お金も気力も尽き果てても、なぜか悩みだけは沸いてきます。かつて悩みの相談の場として親しまれていたのが、お寺。悩んだ人が最後にすがる場所を「駆け込み寺」と言いますよね。

最近も、新しいアプローチで現代人によりそう、寺カフェ、寺ヨガ、テクノ法要などが注目されており、中でも夜の駆け込み寺「坊主バー」が話題になっています。

もしかすると迷える24歳サブカル女子の悩みに、特効薬みたいな回答を頂戴できるかもしれない……。ということで、今回は多くの人が頭と心を悩ませる「人間関係」を相談するため、サブカルの聖地・中野にある「坊主バー」に駆け込んでみました!

メニューには「極楽浄土」「愛別離苦」といった文字が

お店はJR中野駅北口を出て、中野ブロードウェイの近く「ワールド会館」2階。愛すべきレトロ雑居ビルの中にあります。入口は普通のアジアンテイスト。しかし、一歩踏み入れるとお坊さんらしき方が合掌でお出迎え。こちらが店主であり浄土真宗のお坊さんでもある、釈源光さんです。

人生で初めて合掌で迎え入れられました。

人生で初めて合掌で迎え入れられました。

カクテルの名前も印象的です。メニューには「極楽浄土」「愛別離苦」「一期一会」「生臭坊主」「助平(エロ)坊主」……。なまじネーミングが仏教寄りの分、生臭さがにじみでています。

「働きたくない」「坊主バーを開くために坊主になった」

全12種類のオリジナルカクテル掲載の経典風メニュー表

全12種類のオリジナルカクテル掲載の経典風メニュー表

――早速ですが、どうして坊主バーを開かれたんですか?

「元はと言えば、働きたくなかったんですよね。僕は今63歳で、大学生のときは『就職拒否』や『ヒッピー』のムーブメントが起きていました。例に漏れず働くつもりはなかった。だから25歳のとき、パリ大学に逃げました。

そこで出会ったのが、趣味で仏教を学んでいるピエール君。彼が仏教を教えてくれたんです。最初は仏教自体を疑っていました。『この教えは本当か? そんなことはないだろう』って。でも確かめていくうちにのめりこんでしまいました。それで日本で仏教をするために帰国しました」

――帰国して、すぐお坊さんに?

「いえ、坊主になったのは50歳のときです。それまで旅行代理店、広告屋、健康機器、大手ゼネコン……両手じゃ数えきれないほど転職をしました。最長で15年、最短で半日で辞めましたよ。

一番しんどかったのは旅行代理店かな。飛び込み営業は本当に心が折れた。毎日死んでしまおうかと思ったほど。でも、朝晩に般若心経を唱えることで心の均衡を保っていました。読経に救われたんです」

――自分を救ってくれた教えを広めるために入門、ということですか?

「いや、坊主になった理由は『坊主バーを開くため』です。散々会社を勤めをしたし、いっそ個人事業主になってしまおうと。働きながらも仏教学自体は30年以上学んでいましたし。僕が信仰している浄土真宗は『世俗の仏教』と言われているんだけど、宗祖である親鸞の教えが一番ヤバかったんで入門したんです」

中々混ざらない…修業のように混ぜて飲む「極楽浄土」

中々混ざらない…修業のように混ぜて飲む「極楽浄土」

「親鸞がヤバい」というのは、当時僧侶にとって破戒だった「肉食妻帯」を公然と行っていたこと、そして、思想的にも「宗教的に突き抜けている部分(独創性)」と「非-知(愚かさ)が目指されている」という2点にあるそうです。

ちなみに「坊主バー」を営業して13年、当初お客さんは40代が多かったのが、最近は20代後半くらいの方の来店が増えたと言います。しかし相談内容はあまり変わらず、よくある3大悩みは「恋愛関係」「人間関係」「仕事関係」とのことで、どの世代も悩みは共通しているようです。

自慢ばかりする人とはどう付き合えばいい?「適当におだてて話半分でOK」

経典風メニューが気になる筆者

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――では、現代の社会人がうまく人間関係を構築する方法を教えてください。

「無理です。あきらめてください。世の中が悪すぎます。『ブラック企業』とよく言いますが、給料が安いから遊べない、時間がないから休めないという人も多いですよね。肉体的にも精神的にも余裕がない。そんな中で人間関係? ムリでしょう」

――そんなこと言わずに……。では仕事上、苦手な人とどうしても接さなければいけない場合、どうすればいいですか? 例えば、やたら自慢話ばっかりしてくる人への対処法とか。

「自慢をする人は可哀想な人です。自慢って過去のことでしょう。その人は『現在』を生きていない。適当におだてて気持ちよくさせとけばいいんです。真剣に受け取る必要はありません。

仏の教えに『我れ以外すべて我が師』という言葉があります。どんな人でも先生だと思う姿勢を持てば、付き合う心構えも変わってくるのではないでしょうか」

問「2番じゃ嫌。1番の女になりたい」 答「3番目じゃなくてよかったね!」

甘いけど度数の高い「生臭坊主」 酔いも回って、つい!自分の話を!!

甘いけど度数の高い「生臭坊主」 酔いも回って、つい!自分の話を!!

――続きまして、人間関係の中でも特に厄介な「恋愛」。……個人的で申し訳ないのですが、いつも好きな人の「2番目の女」になってしまいます。どうすれば1番になれますか?

「2番目? 3番目じゃなくってよかったですね!でも彼の1番になりたいって、その先は何ですか? 結婚?

だとしても1年前に買った服って色あせて見えますよね。もう今は別の洋服が欲しいでしょう? 欲しいものを得たとしても、また新しいものが欲しくなります。何かを求める限りその繰り返しです。これが煩悩。恋愛だってそうですよ。だから求めなければいい」

――今後、色あせるのかもしれないけど、それでも好きです。1番になれませんか?

「一つだけ、彼と結婚できる可能性が高い方法があります。最終兵器『子供ができちゃった』」

――最終兵器すぎます。結論「恋愛はするな」ってことですか?

「いえ、そういうことではありません。社会も会社も信じられないこの世の中、『誰かを好き』と思う気持ちだけは本物。恋をすれば世界が色づいて見えるでしょう。好きな人がいるだけで得ですよ」

――確かに、好きな人がいるだけで生活に張り合いがでますね。

「でも恋愛も仕事も、詰め込みすぎは駄目。それとは別に『よりどころ』を作っておくのが大切です。映画でも読書でも、もちろん仏教でも。仏教は釈迦の知恵で『濁世(汚れた世の中)』を『浄土(清浄な世界)』にひっくり返すなんです。仏教に興味が出た方は、まず本屋さんで入門書などを手に取ってみてください」

帰りも合掌で送り出してくださいました。

帰りも合掌で送り出してくださいました。

釈源光さんの回答は禅問答のようで、特効薬的な回答はいただけませんでした。しかし「そもそも何で私は悩んでいるんだ?」と考えさせられ、「自慢してくる人が嫌って、本当は私もマウント取りたかったのかな」とか「実は結婚したかったんだ」とか自分の中にあった気持ちに改めて気付くことができました。自分で悩んで考えて気付いて、そして動いていくことが大切なのかなあと思うようになりました。

でもどうしても話を聞いてほしい日、ちょっと目線の違う回答が欲しいとき、「坊主バー」の扉を叩いてみてはいかがでしょう。仏の教えや豊富な人生経験をもとに、お坊さんが真剣に、時には生臭く答えてくれます。生きやすくなる、ちょっとしたヒントに出会えるかもしれません。

実は頭脳警察が好きで、最近の支えはベビメタだというご店主。

実は頭脳警察が好きで、最近の支えはベビメタだというご店主。

■店舗情報

坊主バー

住所 〒164-0001 東京都中野5-55-6 ワールド会館2F

電話 03-3385-5530

アクセス JR中央線中野駅(北口)徒歩5分

営業時間 月~土曜19時~翌2時30分(L.O.)/日曜18時30分~24時(L.O)

定休日 火曜・年末年始

公式サイト http://nakano-vowsbar.com/

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