ゲイ向けの「結婚相談所」で真剣なパートナー探し 「2丁目に馴染めない人も一歩踏み出してみて」
新宿駅を背に靖国通りを真っ直ぐ進み、左手に折れたところにリザライ新宿店はある。一見、ごく普通のマンションのようにも見えるが、窓に掛かったレインボーのフラッグが目印になっている。
この店舗に直接来店しなければ、リザライに会員登録をすることはできない。ちょっと面倒だが、そのおかげで会員には真剣に出会いを求めている人しかいない。オンラインで手軽に登録できるアプリとは異なり、「冷やかし」の人がいないのだ。
代表の猿橋さんは、リザライの良いところを次のように語る。
「アプリやパーティー、掲示板での出会いに不安を抱かれている人は多いです。そうした方法ですと、相手がどういう人かわからない状態で連絡先を交換しなければなりません。会う約束をしてもすっぽかされたり、場合によっては相手がストーカーのようになってしまうこともあります。しかしリザライでは、私たちが一度面談し、また、本人確認書類で身元を確認しているので安心です」
登録後は毎月恋人候補を紹介する。お互いに興味があれば、新宿店で「お見合い」をして、それぞれがコンシェルジュに相手の印象を伝える。もしお互いに気に入れば、そのままカフェに行ったり、連絡先を交換したりするのだという。
会員は、30代(35.4%)と20代(26.2%)が中心で、会社員(49.4%)が半数近くを占めている。専門職(26.7%)の人も多い。周囲にカミングアウトしていないか、ごく限られた友人にしか伝えていないという人がほとんどだ。
コンシェルジュを務める田岡智美さんは、「アプリや掲示板を利用していたという人よりも、リザライに来るまでは出会いの手段がなかったという人が多い」と語る。カミングアウトしていない場合、知人に見つかるのが嫌でアプリの利用も控えてしまう。また新宿2丁目といったコミュニティもあるが、「1人で行くのには抵抗を覚える人もいる。誰もがすぐにコミュニティに溶け込めるわけでもない」という。
「人が幸せになるお手伝いをするのに、異性愛者、同性愛者という線引きはない」
田岡さんは、元々異性愛者向けの結婚相談所でアドバイザーをしていた。田岡さん自身はストレートだが、「人が幸せになるお手伝いをするのに、異性愛者の方、同性愛者の方という線引きはありません」と語る。真剣な交際相手を見つけ、幸せになれるのは異性愛者でも同性愛者でも変わらないのだ。
「お付き合いを始めてから、週末にデートをするのが楽しみで会社に行くのが苦痛でなくなったと報告してくれた人がいました。皆さん、初めてリザライを訪れた時と成婚後では、表情が全然違うんです。リザライが気になっていても、利用を躊躇している方もいると思います。でも一歩踏み出せば人生が変わるということを知ってほしい」
9月には5組のカップルがリザライの店舗を訪れ、真剣なお付き合いを始めたという「成婚」報告をしている。報告のために来店していないカップルを含めるともっと多くの人たちがパートナーを見つけていると思われる。現在は、新宿店のみでパートナー紹介サービスを提供しているが、ゆくゆくはエリアやサービス内容を拡大する予定だ。