若者の恋愛離れが加速、一体なぜ? 中央大教授「アイドルなどで恋愛を代替。お金さえ払えば自分の話を聞いてくれる」 | キャリコネニュース
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若者の恋愛離れが加速、一体なぜ? 中央大教授「アイドルなどで恋愛を代替。お金さえ払えば自分の話を聞いてくれる」

中央大学文学部・山田昌弘教授

中央大学文学部・山田昌弘教授

マッチングアプリ「Pairs」を運営するエウレカは11月27日、若者の恋愛事情に関するメディアセミナーを都内で開催した。中央大学文学部・山田昌弘教授が同社と共同で行った「日本の恋愛・結婚に関する全国意識調査」の結果について説明した。

調査は今年10月に実施。独身者2500人に結婚意思を聞くと「結婚するつもり」が85%だった。性年代問わず結婚意思は高く、「20~30年間数字は変わっていない」という。

しかし恋愛に関しては別だ。「交際したい」は55%と低く、「身近に出会いがない」は85%、「交際相手を探すための活動をしていない」は82%にのぼる。山田教授は「40年くらい恋愛・結婚を研究していますが、ここ20年くらいで『恋愛・結婚離れ』というのが進んでいますね」と話す。

「彼女がいない人も増えてきています。学生を見ていると段々恋愛に興味を持たなくなっている。興味がないわけじゃないけど実際に行動しない人がいて、大学生で性体験がある人の割合は5割を切って、女性は35%。アメリカで発表すると『嘘だろ?』と言われる」

「今の若い人を理解する鍵は”面倒くさい”」

交際相手のいない20~30代独身男女に交際したくない理由を聞くと「一人でいることが好きだから」が40.8%にのぼった。山田教授は「一人でいるのが好きといっても、今はSNSで喋れるのが大きいのかもしれない」と分析。

ほかには、「交際をすることが面倒だから」(32.1%)、「恋愛が面倒だから」(29.8%)、「趣味などを自由に楽しみたいから」(28.4%)、「自由さや気楽な生活を失いたくないから」(28.4%)、「交際は疲れるから」(27.4%)と続く。

「今の若い人を理解する鍵は『面倒くさい』だと思ってます。自分を曲げてまで付き合う必要はあるのだろうかという意識が強く、都合のいい相手が現われるまで恋愛しなくていいという考えがあります」

また、「若い人は忙しい」といい、ただでさえSNSの返事に時間がかかるのに、恋人とのやり取りや、交際に至るまでの過程を考えると面倒に感じる人が多いという。そのため、一時的な恋愛の代替としてメイドカフェやキャバクラ、アイドルなど楽しんでいると話す。

「面倒くさくないですよね。お金さえ払えば自分の話を聞いてくれる、褒めてもらえる人が手に入る。1枚1000円のCDを買えば、憧れの可愛いアイドルと握手ができる。でも隣の素敵だと思う人と握手するまでどれくらいのステップを踏まなきゃいけないのか……と考えると面倒になる」

男性は「経済力」、女性は「容姿」「料理のうまさ」を引け目に感じる

交際経験のない20~30代独身男女に、交際相手がほしいのに活動をしない理由を聞いたところ「どう活動したら良いかわからない」という回答が42.8%にのぼった。

交際経験がないから勝手がわからない、ということと、現代の若者がリスクに敏感になっていることも影響していそうだ。「異性とのコミュニケーションが苦手」(30.3%)、「フラれることが怖い」(14.5%)などの回答も一部あり、失敗を恐れて行動に移さない、もしくは恋愛に対して受動的であることがうかがえる。

現在交際相手のいない20~30代独身男女が結婚したい理由は、「ずっと独身だと寂しい」(47.0%)、「精神的な安らぎが得られる」(37.3%)などが目立ち、精神的な満足感や充足を挙げる人が多い。

結婚相手に求めるものについて上位にランクインする「相手の人柄」(55.2%)、「自分を大切にしてくれること」(49.8%)、「愛情」「ありのままの自分を受け入れてくれること」(同47.4%)といった項目は昔と変わらない。しかし最近は「金銭感覚」(41.2%)を挙げる人が増えている。

実際、結婚して夫婦の不満で多いのはお金の使い方だという。山田教授は「”節約志向”か”使っちゃう志向”かってこと。お互い同じならそれでいいかもしれない。でも違う人と一緒になるとトラブルになる可能性もある」と指摘する。

自分自身を受け入れてもらいたいと思う一方で、交際を考えた時に「引け目を感じる」と回答した人は男性70%、女性75.6%にのぼる。男女で大きく違いが出た項目もあった。男性は「経済力」(30.1%)を気にするが、女性は「自分の性格」(37.7%)、「容姿」(35.2%)、「料理のうまさ」(20.3%)を引け目に感じやすい。山田教授は、

「”料理のうまさ”が男女平等の社会においても女性の引け目になるのは、どうしてかなっていつも考えています。『愛妻弁当』とあるように、料理を作ることだけが日本の女性の愛情という歴史がある」

と話していた。

職場での出会い減少の背景には「非正規社員の増大と正社員の過剰労働」

近年、マッチングアプリが普及し、利用率も上昇している。交際相手を見つける活動方法1位は「友人に紹介してもらう」(男性28%、女性33%)だが、マッチングアプリは2位にランクインしている(男性23.7%、女性で33%)。

また、現在の結婚生活満足度を出会い方別に見ると、1位は「マッチングアプリ」(35.9%)で、2位の「幼馴染・小中高校」「大学」(30.7%)を5ポイント上回った。

マッチングアプリは、会う前に相手がどのような人かを判断できるため満足度が高いのではという。また、幼馴染も「お互いの生活や相手の親まで知っているためリスクが少ない」としている。

一方、「社会人になってからの職場や仕事関係」での出会いは近年減少している。

「背景にあるのは非正規社員の増大と正社員の過剰労働です。日本社会はリスクを嫌うので、知り合ってから付き合うまでの期間が長い。非正規社員が増えると、親しくなって声をかける頃には退職をしているということがあります」

30~40年前までは社員旅行や組合活動など独身者の交流の場もあったが、今は少なくなってきている。またSNSの発展によって「監視社会になってきたので気軽に付き合えない。自然な出会いが徐々に少なくなってきた上にリスクが大きくなってきた」と説明した。

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