5ちゃんねるにはスレッドが立ち、タイトルが「女性が結婚相手に求める年収は?共働き前提でも 『400万円、やはりお金よりも愛なんて綺麗事ではやっていけない』」と改変されていた。要するに、”男性が女性から求められる年収”が気に障る人が多かったのだ。
スレッドはほぼ男性からの書き込みで、女性に対する厳しい声が上がっている。
「確かに綺麗事ではやっていけない。だから女も働いて同等に稼げ」
「女も上位の美貌と女子力(絶対評価ではなく相対評価)を持てるように周りと競争しろよ」
「何ならあたしが稼ぐっつう男前な女の方が需要あるのは間違いないよ」
などのほか、「相手に条件を求めるんじゃなくて、お互いに相手のために何ができるかなんだよ」といった、そもそもの結婚観を問う人もいた。
記事では女性も共働きを前提にしているが、そこは読んでいないのか、「自分が稼いで家族を養うという発想が女にはないのな。まず男の収入ありきの結婚観」など、男性だけが経済的負担を強いられているような気持ちで憤る人が目立った。
「人生をまともに考えてる常識的感覚の女性だと思うよ」
一方で、「400万とは随分理想も下がり現実的になったわね」「求める年収が年々下がってて笑える。日本って本当に落ちぶれたな」など、理想の低さに驚きの声も多数上がった。年収400万円は現実的で、
「この程度の年収が圧倒的に多いと思うけども」
「まあそれが一般的な家庭を持つ『最低限』だろうな。これが高望みもせず自分の人生をまともに考えてる常識的感覚の女性だと思うよ」
などと納得する人も散見された。
2018年度の民間給与実態統計調査では、一人あたりの年間平均給与は男性で545万円だ。しかしあくまで全体の平均であり、20後半~30代では300万円~400万円という人が実際には多い。希望額が下がったことは日本の経済状況が良くないことを示しており、驚きや残念感もあるが、安堵した人もいるだろう。
ミネルヴァ書房の『男性は何をどう悩むのか』(濱田智崇・『男』悩みのホットライン編)によれば、男性のあらゆる悩みの背景には共通して「かくあるべし」の縛りがあるという。仕事能力や年収など、こうあるべきというプレッシャーは女性よりも強い傾向にあるそうだ。「理想の年収」という言葉自体に、嫌悪感を覚える人が多くてもおかしくない。
筆者は最近、交流会で「夫の年収を超えるのが目標です」「大黒柱になりたい」という30~40代女性に複数人遭遇した。そういう積極的な人が集う場ではあったが、いまどき夫の稼ぎだけをあてにして生きようという20~30代女性はそう多くないだろう。むしろ「一緒に働きながら協力して結婚生活を続けられる相手が理想」という意識なのだと、男性たちには考えていただけたらと思う。