男性は自身の生活感について「質素にしていればさして問題はない」と説明。慎ましい一人暮らしをする身だが、実は一人息子がいる。「息子は元妻が養育し、成人させてくれた。もちろん養育費は支払った」と明かす。現在の収入は「年収400万円前後の本業のほか、月7万円の家賃収入がある」といい、
「節約すれば給与から数万円を貯蓄できる。このうち一部は改修・修繕費用として別途貯蓄。5万円ほどが次の投資物件購入のための資金貯蓄となっている。一見すると今後の収入を増やす目算があるように思えるかもしれないが、正直、時間とのせめぎあい」
と胸中を打ち明ける。ひとりきりで迎える老後に向け、無意識の焦りがあるのかもしれない。本音を言えば正社員を狙い、もっと収入を上げたいところだろうが「受けるストレスや物件管理の都合がある。さらに他の副業まで考慮すると、バランス的にはこのくらいが限界」と考えている。
「どこかひとつが大きく綻びれば、この年齢から立て直すことはできない」
本業の給与収入に加え、家賃収入が発生する不動産を所有しているのだから、十分なリスクヘッジはできているように見える。老後を迎えれば公的年金の支給もあるだろう。しかし男性の危機感は消えない。「時間・収入・支出・貯蓄・投資・就労環境の不安定さ。これらの細かな条件によって編み出された綱の上を渡っているような状態。どこかひとつが大きく綻びれば、この年齢から体勢を立て直すことはできない」と不安を口にする。男性は、
「今の年収が400万円台でも、この先10年で少しは増える予定があっても、底辺であることは変わらない」
と断言。「『ちょっと気持ちに余裕がある』と言えるのは、単身なら年収800万円前後が境界線だろう。しかし、そこまでは収入を増やせそうで増やせない。安定していそうで不安定な状況はこれからも続く」と自身の置かれた状況を厳しく推しはかる。
このような拭いきれない不安と危機感が、冒頭の価値観に結び付いているようだ。男性は「政治や上級国民は、我々一般庶民が“あがる”ための道を教えたり、導いたりはしない」と語った。
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