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税務署の職員に「もっと働いたほうがいい」と言われたので「もっと税金払えってことですか」と言い返した結果

フリーの編集者である私は、世間では個人事業主という扱いになる。そこで昨年8月、税務署でインボイスの登録申請をした。これにより制度が開始した10月から、取引先から受け取った消費税分を納めることになったのだ。

その登録の際に税務署で言われたことは、今でも強く印象に残っている。近所の税務署で職員の指示に従いながら登録申請に必要な書類に記入するだけだったのだが、当時の私は初めてのことで混乱していたため、いくつか質問をしてみた。

60代と思わしき男性職員は質問の流れで、私が納める消費税額をシミュレーションすると言った。そのために年収を知りたかったようで、電卓を片手に、こう聞いてきたのだった。

「年収は500万円くらいですかね」

恐らく悪意はないのだろう。しかし当時、私の年収はその半分にも及ばなかったため、答えるのを一瞬、躊躇した。それまでは、収入が少ないことを恥とはまったく思っていなかったし、むしろ会社員時代とは違い、しがらみなく働けていることに喜びを感じていた。にもかかわらず、税務署の職員のたった一言で、急にいたたまれない気持ちになったのだ。

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言い返した直後は一瞬いい気分になったが……

ただ、答えなければ先へ進めないため、おおよその年収を答えた。すると税務署職員は淡々とした表情で電卓に数字を打ち込み、その結果を見せてきた。いわゆる「2割特例」の恩恵もあり、思っていたより少ない金額だった。とはいえ、ほかにも所得税や社会保険料を支払うわけだから、手取りはわずかになる。

そんなことを私が独り言のようにつぶやくと、しっかり聞いていた職員は囁くように言ったのだった。

「もっと働いたらいいと思いますよ」

確かに収入が増えれば、手取りは増える。しかし税金も増えるではないか! しかも囁いてきた相手は税務署職員である。素直に受け取れなかった私は、すかさず次のように言い返した。

「もっと税金払えってことですか」

すると税務署職員は苦笑いしただけで、特になにも答えなかった。私は言い返したことで一瞬いい気分になったが、やはり居心地が悪くなり、書類を提出してそそくさと税務署をあとにした。

しかし帰り道、再び怒りがこみ上げてきた。配偶者はえげつないほどの税金を納めているにもかかわらず、これ以上、我が家から取ろうとするのか! と。このこともついでに言えばよかったと、今も思い返すとモヤモヤしてしまうのだ。

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