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企業のデジタルシフトを支援するデジタルHD「広告業界を筆頭に産業のDXを推進」

株式会社デジタルホールディングス 代表取締役社長グループCEOの野内 敦さん
(同社提供。以下同じ)

日本社会のデジタルシフトを力強く推進するべく、昨年7月に社名を新たにした株式会社デジタルホールディングス(旧・株式会社オプトホールディング)。2021年からはデジタルシフトへの推進力をさらに強化するため、事業セグメントの刷新を行なった。

事業セグメントの刷新はデジタルホールディングスにどんな効果をもたらすのか。代表取締役社長グループCEOの野内 敦さんに伺った。(文:千葉郁美)

「マーケティングDX」を広告の付加価値からフロントに

デジタルシフトカンパニーとして邁進するデジタルホールディングス(以下デジタルHD)。さまざまな企業のデジタルシフト支援やデジタルマーケティングを支えるソリューション開発を手がける。

オプトホールディングからの社名変更という大きな変革の舵を切った2020年からおおよそ1年、デジタルHDはそれまでの事業を再定義し、デジタルシフト事業、広告事業、金融投資事業の3つのセグメントに変更。デジタルシフト関連サービスやデジタルマーケティング、新規事業開発はデジタルシフト事業に、広告代理事業やソリューション開発・販売は広告事業として新たなスタートを切った。

それまで一括りだったインターネット広告代理業(以降、ネット広告)とデジタルマーケティングを分解し、それぞれの事業領域を別にした理由には「マーケティングDX単体の価値をより表に出していく」という考えがある。

「これまでも我々は、デジタルマーケティングを提供する中でマーケティングDXを支援してきました。しかしお客様にはネット広告代理店として見られていて、主に「広告」を期待されている。本来、どちらも重要であるはずが、広告とマーケティングDXが主と従の関係にあったということです。それを切り離すことで、マーケティングDXが単体としてその価値を発揮し、より効果を認識いただけるはずです」(野内さん)

新たなセグメントで走り出したデジタルHD。それぞれの事業が新たな価値の創造に邁進する。

「DXしたいけれど何をしていいかわからない」悩む経営者に人材育成のアプローチ

デジタルシフト事業では大きく分けて2つのアプローチで社会のデジタルシフトを推進していく。ひとつは、個別企業の課題を直に聞き、その企業に合わせたソリューションによってデジタルシフトを支援していくアプローチだ。

昨今、DXやデジタル化に対して多くの企業が課題感を持ち、取り組みを始めている。しかし、「そもそも何をしていいのかが分からない」という状況にある企業も少なくないという。

「個別の企業に話を聞いてみると、デジタル化やDXをやらなければいけないという課題感はありつつも、”どうしていいのか分からない、何から手をつけていいか分からない”といった声が多くあります」(野内さん)

DXやデジタル化と言われても、分からないことだらけ–。そうした企業に対しては、経営者やデジタルシフトを実際に担う部門の方向けの人材育成というアプローチでデジタルシフトを支援。また、個別企業向けのコンサルティングを通じて企業の顧客(生活者)へのコミュニケーションの最適化をご支援したり、データ環境整備や開発を受託したり、ご支援する企業の課題に合わせてサービスをカスタマイズしてサポートする。

「個社個別にある課題を起点に、デジタル化に向けた伴走や、情報提供をさせていただいています。企業に話を聞いている肌感覚では、自分たちがどんなDXをすればいいかを”わかっている”会社はまだまだ少ないという印象です。まずはそうした企業の支援に注力しています」(野内さん)

産業特有のペインを先回りして把握

もうひとつのアプローチは個社個別の対応とは別の産業全体の課題解決だ。個社毎の企業ニーズを聞いていくうちに、見えてくる業界特有の課題や産業構造上のデジタル化の課題。そうした「ペイン」をデジタルHDが先回りして把握し、産業そのものをデジタルシフトによって変革する「産業変革」(IX:Industrial Transformation)をもリードしていく。

「明らかに産業モデル自体に遅れがあり、場合によってはデジタル化を排除するような風潮のある産業も存在します。そういう産業全体がかかえるDXに対するひずみを私たちが明確に把握できたら、個別企業の支援からではなく、いち早く産業のデジタルシフトに必要なソリューションを設計して、マーケットに投入していくことができる。結果的に産業変革のDXに貢献できると考えています。今、そうした取り組みの芽が成長の兆しをみせているところです。こうした産業全体をDXしていく動きの根底にあるのは、課題を抱えた産業の従事者の方々が従来のやり方に囚われることなく、本来の価値を発揮できるような仕組みを構築し、日本社会全体の課題解決につなげていきたいという強い想いです。」(野内さん)

ネット広告代理事業は今こそ変わるとき

ネット広告代理事業からデジタルシフトに舵を切ったデジタルHDだが、一方で自社が身を置いてきた広告業界自体のデジタルシフトも重要な課題だ。ネット広告代理業からデジタルマーケティングと呼ばれる業態に変化したネット広告業界では、それまでのサービスのみならずさまざまな機能を持っていないと顧客に付加価値を提供できない状態が長年続いてきた。

この膠着した状況から抜け出すべく野内さんは、ネット広告代理店という中核的な従来のビジネスに対して、「今こそ変わるとき」と変革へのチャレンジを決めた。まず着手するのはネット広告代理業の筋肉質化だ。

「これまで、”広告代理事業は変わらないから他のこと(マーケティングDXなど)をたくさんやろう”と、サービスがどんどん太っていきました。新たな事業セグメントへの刷新と共に、オプト時代にすでにDXに関連していた事業はデジタルシフト事業へと移しました。現在、広告事業には純粋に広告代理業のみを残しているため、この事業が本当の意味でどうあるべきかを問える状態になっています」(野内さん)

ぜい肉を削ぎ落とした広告代理業は、本来の姿でどう戦っていくのか。具体的な課題に向き合い、それぞれの改善点や工夫できるポイントをおさえていくことで、筋肉質化は自ずと実現に向かっていく。

最大のチャレンジは「広告産業の変革」

ネット広告事業を筋肉質化した次の一手として目指すのは「自ら広告産業の変革にチャレンジする」ことだ。

「これまでの主戦場だったネット広告事業の筋肉質化を実現しつつある我々は、広告代理店を含めた広告産業のペインを一番わかっています。自分たちが他の産業のペインを発見し、それを解消しに行くことができるのであれば、自分たちが一番わかっている広告産業の変革に挑むべきだろうと。このチャレンジを筋肉質化した次の段階で掲げたいと考えています」(野内さん)

広告産業変革への挑戦は「これまでの中でもっとも大きなチャレンジとなる」と、野内さんは声を弾ませる。

「広告産業は規模も大きいですし、すでに確立された業界全体のビジネスモデルを変えていかなければならないので、実はここが一番大きなチャレンジになります。逆に、広告産業の改革や変革ができるとなれば、マーケットに対して大きなインパクトを与えることができると考えています」(野内さん)

デジタルHDの代名詞は「新しい価値創造」

かつて総合広告代理店の常識を覆し、業界に新たな価値を生み出すという変革をやってのけたデジタルHD。当時の変革がコモディティ化し常態化している今、新たな変革の芽を探し、次なる価値を生み出す日も遠くない。

「当社の一丁目一番地を”新しい価値創造”と決めました。新しい価値創造と言えばデジタルHDだ、と言われるような会社になりたいです。それくらい社会や産業に貢献していきたいですね」(野内さん)

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