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「データに基づきデジタル技術を利用した変革を」個別指導塾最大手「明光義塾」を運営する明光ネットワークジャパンがDXデータプラットフォームの構築を推進

株式会社明光ネットワークジャパン 執行役員 DX戦略本部長兼DX推進室長 谷口康忠さん

個別指導塾「明光義塾」を運営し、長年学習塾のトップブランド企業として成長を遂げてきた株式会社明光ネットワークジャパン。少子高齢化やコロナ禍といった時代の変遷に伴い、不確実性な時代に向けたデジタルトランスフォーメーション(以下DX)推進にまい進する。

学習塾業界において、明光ネットワークジャパンはどのようにDX推進を実現していくのか。執行役員でDX戦略本部長の谷口康忠さんに話を聞いた。(文:千葉郁美)

学習塾業界のDXとは?

――昨今さまざまな産業でDX推進への必要性が謳われていますが、学習塾業界のDXは進んでいるのでしょうか。

学習塾におけるデジタル化やITツールを活用したオンライン授業の提供など、学習塾を取り巻くデジタル化は着実に進んできていると感じています。
特に新型コロナウィルスにおける休校などで家庭のスマホやタブレットなどが普及したことや、オンラインで授業を受けることへの生徒・保護者の理解が少しずつ進んだことに加え、現場の教室における講師等のICTリテラシーが一気に上がったことが挙げられます。

――オンライン授業によるDXとしての効果はあったのでしょうか。

例えば、明光義塾の各教室でオンライン授業を提供しているものの、一部を除いてほとんどの生徒・保護者が通塾・対面授業を希望する傾向があります。これは明光義塾に限らず、全体の半数以上の学習塾がすでにオンライン授業を活用または併用しているものの、8割近くの生徒・保護者が対面授業を希望するとの調査結果が出ています。実際のところ、想像以上に対面授業ニーズが根強いというのが生徒・保護者の本音なんです。

授業をオンライン化することは、コロナ禍においては必要なことだと思いますし、一定の顕在ニーズに応えるためにも今後も続けていきますが、現状は学習塾にとって効果的なDXではないと言えるかもしれません。

DX推進の一歩目はデータドリブンに基づく生徒・保護者のインサイトを把握すること

――課題感に対して、どのような取り組みをされたのでしょうか。

2021年3月にDX推進室に着任してからずっと、破壊的なイノベーションを起こしたいと考えていました(笑)。とはいえ、異業種からの転職で、学習塾業界について無知であったことや、小学生と中学生の子を持つ親の立場として、まずは学習塾にとって生徒・保護者へのデジタルマーケティングについては、まだまだ取り組むべき課題があると思い、最初に取り組んだことの一つが、MA(マーケティングオートメーション)/CRM(カスタマーリレーションシップマネージメント)の導入です。

MA/CRMの導入によって入会に至るお問い合わせまでのプロセスを可視化できるようアトリビューション分析の仕組みを整備したり、TwitterやFacebook等の公式SNSの投稿管理やレポートの可視化を行ったり、各種Web広告の運用管理や公式サイトのAnalyticsもMAで一元管理することで、まだまだ発展途上ではありますが、入塾前の生徒・保護者が何に反応し、どのような潜在ニーズがあるのかをデータとして分析するマーケテイング基盤の仕組みが整ったと思います。

分断されたデータをいかに活用するか:DX推進に向けての課題とは?

――ここまで約半年という短期間で、随分と駆け足でDX推進を実行されてこられたと思います。今後取り組むべき課題はありますか?

そうですね。色々課題はあるのですが、生徒の入会後のデータを全社一元管理し、連携させることでDXが目指す新たなトランスフォーメーションが生まれるのではと考えています。
とはいえ、明光ネットワークジャパンとして、個別指導塾「明光義塾」の他にも、自立学習の「RED」や学童保育「明光キッズ」、オールイングリッシュの学童保育「明光キッズe」などの事業を展開していますが、全社DXを進めるにあたり、既存システムが事業ごとに分断されているために全社横断的なデータ活用が難しいということが課題として挙げられます。

当初はMA/CRMで横串にして一元管理をしようと思いましたが、取得すべきプロファイル情報も異なれば活用の仕方も違う。マーテクツールとしてのMAで、複数の事業のデータ活用を横断的にやるには一定の効果はあるものの、やはり限界があります。

また、既存システムを連携させるにしても、APIが整備されているわけでもなく、容易にデータ連携ができない。これは、多くの企業がデータを活用してDXを推進しようというときにぶつかる壁ではないかと思います。デジタル技術を活用し、データに基づいて破壊的なイノベーションを行いたいといっても、そのデータアセットが整備されていないことには、今後の不確実性な時代にも対応可能なDXの実現は難しいと思います。

DXデータプラットフォームの構築を推進

――具体的にはどのような取り組みを推進していくのでしょうか。

当初DX推進室には私一人しかいなかったのですが、DXに賛同する社内メンバーが集まるとともに、DX実行に向けたCX(コーポレートトランスフォーメーション)が始まり、DX戦略本部が立ち上がりました。

組織体制が整備される中、現在DX戦略本部として課題解決に向けて取り組んでいるのが、DBを含むPF基盤の整備に加え、全社横断的なデータ活用に向けたDXデータプラットフォームの構築です。
ETLツールを活用することで、DBのようなミドルウェアレイヤーも、SaaSアプリケーションも、ノーコードでデータを抽出・保管・変換させることが可能なため、シームレスにデータ連携させることやBIツールにてデータの可視化・分析も容易となります。

また、システムが点在していても、オペレーションが分断されていても、各データがDXデータプラットフォーム上でデータ流通可能な仕組みがあれば、データを活用した新たなチャレンジが可能となると思っています。

これらを活用し、データに基づいて、デジタルを活用した新たなアプリケーション開発や新規ビジネスの立ち上げなど、学習塾事業をトランスフォーメーションすることがDX戦略本部の最大のミッションだと考えています。
今後も続くであろう不確実な時代において、データを有効活用し、社会の変化に対応した新しい価値の提案により、明光ネットワークジャパンとして学びのインフラをひろげていきたいと思います。

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