11月中旬、渋谷にある、派手に”落書き”されたビルがツイッターで話題になった。実際に現場に行ってみると、確かにインパクトがすごい。
場所は渋谷駅からすぐ。駅を出て、現代的なビルを通り過ぎたところにある、昔ながらのビルが立ち並ぶ一角なのだが、この一棟だけやたらとNY感が漂っている。(取材・文:中山道登)
そのビルの1階にシレッと入居する中華料理屋「一番」。なかなかの威風堂々っぷりだ。通りかかったときには準備中だったのが残念。ぜひ一度お邪魔してみたい。
NYの著名アーティストが描いた?
ところで、このグラフィティは誰が書いたのか。細かく見ていくとヒントがあった。UFO907という文字と、一目見ると忘れられないタコっぽい絵。ニューヨークを中心に世界各地に出没するアーティスト「UFO907」の作品だろう。
公式サイトの紹介から抜粋すると、UFO907は90年代半ばに地球にやってきた。身の回りのアーティストたちの境遇にげんなりし、芸術学校を去った彼は、気がつくとグラフィティやバンダリズムに魅了されていた。絵筆をスプレー缶に持ち替え、ニューヨークの果てしなく続く壁、裏山、屋上、配送トラックなどをスタジオ兼ギャラリーにした。逮捕されるリスク、暗闇の中、見知らぬ場所での終わりなき絵画の冒険、これらすべてがUFOの作品スタイルになっている……とのことだ。
あの「美術手帖」もUFO907の特集をしていた。最近ではグラフィティではなく、スタジオ制作にシフトチェンジをして活動しているようだ。
UFO907氏が東京にやってきたとき、一緒に動いていたグラフィティ・ライターの集団「246」のサインもある。このビルも一緒にやったのだろうか。
それにしても、なかなか味のあるビルに仕上がっていた。渋谷周辺、他にもいろいろあるのかもしれない。最近はコロナでこもりっきりだったが、この街をゆっくり見て回りたくなった。