ところで、このグラフィティは誰が書いたのか。細かく見ていくとヒントがあった。UFO907という文字と、一目見ると忘れられないタコっぽい絵。ニューヨークを中心に世界各地に出没するアーティスト「UFO907」の作品だろう。
公式サイトの紹介から抜粋すると、UFO907は90年代半ばに地球にやってきた。身の回りのアーティストたちの境遇にげんなりし、芸術学校を去った彼は、気がつくとグラフィティやバンダリズムに魅了されていた。絵筆をスプレー缶に持ち替え、ニューヨークの果てしなく続く壁、裏山、屋上、配送トラックなどをスタジオ兼ギャラリーにした。逮捕されるリスク、暗闇の中、見知らぬ場所での終わりなき絵画の冒険、これらすべてがUFOの作品スタイルになっている……とのことだ。
あの「美術手帖」もUFO907の特集をしていた。最近ではグラフィティではなく、スタジオ制作にシフトチェンジをして活動しているようだ。
UFO907氏が東京にやってきたとき、一緒に動いていたグラフィティ・ライターの集団「246」のサインもある。このビルも一緒にやったのだろうか。
それにしても、なかなか味のあるビルに仕上がっていた。渋谷周辺、他にもいろいろあるのかもしれない。最近はコロナでこもりっきりだったが、この街をゆっくり見て回りたくなった。