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「EC運営をもっと楽しく」SaaS型プラットフォームを提供するHameeが膨大な流通データの利活用で新たな価値創造へ

DXマネジメント部の三原信基さん

EC運営のSaaS型プラットフォーム「ネクストエンジン」を提供するHamee株式会社は、「せかいであそぼ。」というブランドメッセージとともに「クラウド型 EC Attractions」という呼称を通じもっと楽しいEC体験を作り出すことを目指す。

自社のEC運営とその課題解決からスタートした「ネクストエンジン」が国内トップシェアのプラットフォームへと成長を遂げたその背景とは。今後さらに注力するというデータ領域の展望について、DXマネジメント部の三原信基さんに伺った。(文:千葉郁美)

時代を先駆けたSaaS型ソリューション開発がビジネスモデルの変換器に

――御社が運営するEC事業者向けのSaaS型プラットフォーム「ネクストエンジン」とはどういったサービスなのでしょうか。

「ネクストエンジン」は2007年から自社で運営を始め、EC事業者向けのソリューションとして2008年に外販がスタートしました。商品の受注管理をする仕組み自体は目新しいわけではありませんでしたが、当時はソフトをインストールして動かすのが一般的でした。かつ、システム投資も高額になりがちで、最初のワンショットで100万円や200万円という額が発生する場合もありました。

そうした時代にインターネットを介してサービスを利用するSaaSのような仕組みは、先進的な取り組みだったと言えるでしょう。「月に一万円から利用できる」という形で提供することが一般的に受け入れられるかどうかという懸念ともに、「初期投資の回収」という側面も含めて大きなチャレンジでした。

また、我々は神奈川県小田原市という地方に拠点を置く企業で、高い営業力を持っているわけではありませんでしたが、さまざまなパートナー企業様がサービスを高く評価してくださり、「ネクストエンジンと一緒にやっていこう」と仰っていただけたことで販路が大きく広がりました。パートナー企業様がECサイトを運営する事業主にネクストエンジンを提案していただけたことで、次々と繋がっていったという具合です。

――現在は5,000を超える企業が利用する国内屈指のEC運営プラットフォームに成長されました。サービスはどのように進化しているのでしょうか。

ネクストエンジンはバックヤードのシステムですので、EC店舗の裏側で注文処理を自動的に行っていくというところが土台になっています。これまでにもお客様からの様々な声を受けていろんな機能を追加してきましたが、2013年からはプラットフォームという形で、色々なアプリを追加していただけるようになりました。使いたい機能を個社個別に選んでいただけるようになっています。

アプリはスマホアプリのように誰でも開発、公開することができます。パートナー企業様がソリューションを提供している場合もありますし、あるいはお客様自身が開発をすることもあります。

当然、我々自身がアプリを追加することもあります。近年では、弊社に蓄積されたトランザクションデータを活用して「レコメンドメール自動配信アプリ」という、お客様の収益自動化を目指すアプリをリリースしました。顧客満足の強化に向けて、データの活用を含めた様々なアプリの開発にも力を入れていこうとしています。

トランザクションデータを更なるマーケティングソリューションに利活用

――今後、データはどのように活用していこうとお考えでしょうか。

データの価値を最大限生かすためには、データをどうやって使っていったらいいのか、どのようにすればお客様にとってよりよい形になるのかといったところを追求していく必要があります。

ネクストエンジンのなかには非常に多くのデータが入っています。特に大きいのは、サービスを通じて実行された、四半期で2,600億円を超える流通のデータです。それだけのお客様の買い物状況が見えている、といったような形になっています。
この流通のデータによって、ネクストエンジンのユーザー様、いわゆるEC事業者様の動向も知ることができます。

また、トランザクションデータに限らず、ユーザー様の生の声もカスタマーサービスの中に蓄積しています。これら全てのデータ類を機械学習も用いながら活用し、サービスに転換していくことでEC事業者様の事業拡大をサポートしていきたいと考えています。

このようなデータを起点としたマーケティング関連のソリューション開発や、それを行うための基盤の刷新や仕組化のため、2021年5月に「DXマネジメント室」を設置。2021年11月には陣容を強化し「DXマネジメント部」になりました。

データに触れる機会を増やして利活用のアイデア創出を支援

――より一層推進力を高めていかれるとのことですが、具体的にはどのようなことを目指していかれるのでしょうか。

ECプラットフォームという広義なサービス群の中で考えると類似したサービスはたくさんありますが、その中で我々の強みは「横断的なデータがある」というところです。大手ECプラットフォームは各々競合のデータを知る術がないのに対して、我々はそれを横断的に持っています。

我々のサービスを利用するEC事業者様に、この横断的なデータを活用した有効的なマーケティングやデータ活用のソリューションを提供できるのではないかと。さらに言うと、我々の根幹となるビジネスが受注や在庫の一元管理だとすると、それ自体を低価格で効率的に提供できる可能性も十分にあります。

DXマネジメント部はこうしたアイデアを社内で発火させていく、活性化させていく役割を持っています。日々、社内のメンバーがより多くのデータに触れることで、そのアイデアをたくさん作って新規事業を起こしていくことを目指しています。

こうした、外部に向けてデータを活用したサービスを提供したいという思いがありつつも、まずは弊社が持つトランザクションデータの社内活用を進める必要があります。それはスキルセットも含めて、全社で目指していかなければならないところだと思っています。

――データの利活用に向けたアイデアを社内から広く取り込んで、自社のプラットフォームの進化に繋がっていくということですね。

例えば前述した「レコメンドメール」のサービスは、一部のエンジニアがデータに触れたことから開発がスタートした製品です。データ活用の機会を増やし、データからより多くのインサイトを得られるようにすることで、新たなアイデアは無限に出てくると思っていますので、そのために必要な環境整備をすすめ、新しいことの実現に挑戦したいと考えています。

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