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「0円タクシー」の衝撃 岡山県井原市の観光サービスがまるで天国

ポスター画像

一丸タクシーの公式サイトより

地方観光のネックは「足」だ。電車やバスで駅までは行けてもそこからが大変。レンタカーで行こうにも、ペーパードライバーにとって慣れない田舎道はちょっと心配だ。そんな人びとにとって、これ以上ない完璧なサービスが始まった。その名も「0円タクシー」だ。

ちょっと意味がわからないが、岡山県井原市では、観光スポットを回るタクシーツアー代が、なんと無料なのだという。いったい何がおきているのか?(取材・文:昼間たかし)

補助金を活用し0円を実現

この「0円タクシー」は、井原線井原駅もしくは井原市内の宿泊施設を発着点として、「新鮮な地元野菜と地域特産品&渋沢栄一の足跡をたどる旅」「新鮮な地元野菜と地域特産品&デニム加工体験ツアー」「井原に宿泊して天文台で星空を見るツアー」などを無料で利用できるというサービス。

施設入館料や飲食は実費だが、最大6時間30分を想定しているツアー中のタクシー代は無料である。いったい、どうしてこんな、ありがたい企画が実現してしまったのか。

市内のタクシー会社「一丸タクシー」によれば、きっかけは昨年、政府の「既存観光拠点再生・高付加価値化推進事業」が出てきたことだ。ようは「国からの補助金」なのだが、どうやって観光を伸ばすかに苦心していたところ、丁度よく国の事業が誕生したわけだ。

豊富な観光資源が「活かせず」

もともと、井原市は観光スポットに恵まれた土地だ。

たとえば市内の美星町は2021年に国際認証制度「星空保護区」に認定された、世界的な天文スポットだ。

出身者である彫刻家・平櫛田中の作品を展示する「田中美術館」や、信仰を集める「嫁いらず観音院」などの名所もある。また、NHKの大河ドラマ『青天を衝け』の主人公・渋沢栄一が農兵募集に訪れた地でもあ る。

しかし、交通の便は極めて悪い。井原駅発着の電車は日中、1時間に1~2本はあるが、駅から先のバス路線は極めて少ない。最大の観光スポット美星天文台も、肝心の夜になるとバスがない。

そこでタクシー……なのだが、一丸タクシーの担当者は「問い合わせがあっても、駅から天文台まで片道5000円程度だというと、そこで電話が切られていた」と振り返る。

そこに現れたのが、国の補助事業だった。前例に「無料バス」はあっても「無料タクシー」はなく、最初は驚かれたが、最終的に「問題ない」という判断になったそうだ。

この間、大河ドラマで話題の渋沢栄一をウリにしようとしたが「渋沢栄一ゆかりの地は全国どこでもあるので、もっと星空を前面に出したほうがいい」というアドバイスも受けたという。

現在実施されている「0円タクシー」は期間限定2月28日まで。なんだ、すぐ終わっちゃうのかとガッカリしたが、0円運行中の利用者アンケートの結果を踏まえ、あれこれと検討していく予定とか。

井原市に限らず、交通の便の悪さゆえに伸び悩む観光地は数多い。これがうまくいけば、「無料タクシー」が地方観光の定番サービスになるかもしれない?

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