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やらない善よりやる偽善! 芸能人に「不謹慎だ!」とがなり立てる非・被災者は一体何なの?

4月21日から23日まで、地元九州に帰省していた。熊本地震で被災した、親戚や知人の手伝いをするためである。

僕が出向いたのは、熊本県嘉島町。倒壊した家屋も多く、交通事情もまだまだ復旧途上。アスファルトごと地面が断裂しているエリアもあり、移動するだけでも慎重にならなければいけなかった。ゴミの集積もままならないという状況である。(文:松本ミゾレ)

現地では時折雨にも見舞われ、そのため土砂災害の危険性も生じることとなっていた。この上、真偽は定かではないものの、空き巣被害も多発しているという噂を、何度も耳にした。嘉島町はあまりニュースでも取り上げられることが少ない地域だったが、死者も出ており、まだまだ状況は不安定だ。

芸能人の献身的な行動は、現地の被災者を大いに勇気付けた

不謹慎だと声高に言う人が多いが...

不謹慎だと声高に言う人が多いが…

そんな中、各地からのボランティアが続々現地入りしたり、救援物資が届いたりしたときは被災地の人と共に安堵した。こういう時、圧倒的に足りないのが人手。なんせ災害で、外傷だけでなく心にも傷を負っている人も多くとても助かった。他県から、縁もゆかりもない人々が善意の元に集まってくれるのは、本当に心強い。

何人かの芸能人が、忙しい合間を縫って現地入りし、人知れずボランティアに勤しんだという話もある。地元が被災した俳優の高良健吾さん(28)は、顔をマスクで隠した状態でこっそりと熊本に入り、給水活動のボランティアとして活動した。

同じく伊勢谷友介さん(39)は、ツイッターで熊本県に支援物資の中継基地を設けたと報告した後、自身も現地に赴いて炊き出しなどの支援を行った。

高須クリニック院長の高須克弥氏の行動もネット上で話題となった。陸路での物資輸送が困難という状況で、ヘリコプターを用意して熊本に物資を届ける計画を思いつき、すぐに実行している。この行動に対して、一部からは「偽善者!」とか「でしゃばるな」という言葉が飛び出しているが、本人は一切気にも留めていないようだ。

もっとも、高須院長だけの話ではなく、タレントや著名人の災害時のこういった行動は、とかく槍玉に挙げられやすい。しかも最近では、とにかくネット上で「売名やめろ」だの「偽善者め」などと、人のことを叩くことしか考えてないような声も目に付く。

これはもう本当に哀しいことだけど、そういうことを書き込んでしまう人がいるのだ。

そもそも被災者はSNSを逐一チェックするほど暇じゃない

さらには、おかしな言動をするネットユーザーも少なくない。芸能人が、いつもどおりSNSで情報を発信するだけで「被災地に対して失礼」「不謹慎だろ!」と書き込む人々もいる。具体的には今回の震災後、長澤まさみさん(28)や西内まりやさん(22)などと言ったタレントが、この手の誹謗中傷を受けたようだ。

笑顔を売るのもタレントの仕事だし、そもそもSNSは個人が使うツールで、使用に際して他人に文句を言われる筋合いはない。それに、被災地に立ち入った立場の人間として言わせてもらうが、百歩譲って被災者がこういうことを言うのはまだ筋が通っている。

だけど、被災者は震災直後にSNSを逐一チェックするほど暇じゃない。スマホの充電だって貴重だったし。この手の不謹慎狩りは、被災者でもなんでもない人々が勝手に代弁者を気取って行っているだけである。

不謹慎狩りは言葉狩り。前時代的で進歩性がない人々のすること。

僕が確認した限りでも、1ミリたりとも揺れていない地域に住んでいて、実家も九州でもなんでもないネットユーザーが、まるで震災の被災者みたいなテンションで不謹慎狩りをしている書き込みがあった。

それだけ被災地に感情移入しているということかも知れないけど、そうだとしても「不謹慎だろ!」と他人を罵る時点で、見る人から見れば自身も立派な偽善的な人間になっている。

仮に売名でも偽善でも、貢献をする人間がいるんならそれは評価しないと、誰も支援をしなくなってしまう。こういうノイズが大きくなると、どんどん良い事がし辛い環境になってくる。それは健全な社会とは言えない。

ネットで不謹慎狩りをする人間に、被災者は感謝なんかしない。一方で、ネットで偽善者呼ばわりされた人に対して、被災者は感謝の念を抱いている。

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