「25歳の単身者が生活するには時給1526円が必要」――全労連のデータが話題、2016年度の最低賃金822円との差は倍近く
厚生労働省の中央最低賃金審議会が7月28日、2016年度の最低賃金の改定額の目安を発表した。全都道府県で20円以上増額。全国平均では24円増で、2002年度以降、最高額の引き上げになるという。
適用されれば、東京は時給907円から932円に、現在693円で最も低い沖縄や高知など4県の時給は714円になる。だが、この額でフルタイムで働いたとしても依然生活に余裕はなさそうだ。
人間らしい生活には最低でも額面で月21万円が必要
全労連が6月に発表した「最低生計費試算調査」によると、25歳の単身者が1か月の生活に必要な額は額面で22万8853円(手取り18万4770円)。これを時給換算すると月に150時間働いた場合1526円になるという。
同調査は全労連に加盟する各都道府県の労働組合が行った最低生計費調査を取りまとめたもの。徳島と香川の調査は2012年に、新潟や広島、愛知、静岡、福島、岩手、北海道の調査は昨年から今年にかけて行われた。
最低生計費は、25歳の単身者が賃貸ワンルームマンション(25平方メートル)に居住という条件で算出。健康で文化的な生活を送るために必要な最低額を出した。その結果、最低生計費が最も低い広島県で額面が21万991円、最も高い静岡県で25万1490円が必要という試算が出た。
平均すると額面で22万8853円(手取り18万4770円)となり、月150時間働いた場合の時給換算で1526円。最低賃金審議会で用いる月の所定内労働時間、173.8時間働いたとしても、時給1317円が必要になる。現在の最低賃金の全国平均は798円。24円引き上げられて822円になるとしても倍近く開いている。
「最低賃金を抑えながら1億総活躍を推進するのは奴隷化に等しい」
この全労連の試算が8月2日にツイッターで話題に。
「全労連が地域別最低生計費調査したんだけど、どこでも生活していく上で賃金時給1500円位は必要だと出てる 最低だよ 最賃1500円の要求は妥当なんだ」
このツイートは5000件を超すリツイートがされ、「最低賃金を抑えながら1億総活躍を推進するのは奴隷化に等しい」という反応が寄せられていた。現状の最低賃金は低すぎると考える人は多いようだ。
キャリコネニュースでは以前に北海道の最低生計費(男性で額面月22万5002円)の結果を紹介した際も、配信先のニコニコニュースなどで「まぁ将来のこと考えたらそれくらいないとな」「この通りでしょうね。働き手世代のうちに老後向けの蓄えを持つ必要があるので」と納得する声があがっていた。
自民党の公約「時給1000円を目指します」は守られるのか
8月3日に発足した第3次安倍第2次改造内閣のことを安倍首相は「未来チャレンジ内閣」と名付けた。3日の毎日新聞の記事によれば、首相は重点課題として「働き方改革」を進める考えを表明し、働き方改革担当相を新設した。
また、「長時間労働を是正する。同一労働同一賃金を実現し、非正規という言葉をこの国から一掃する」と強調。最低賃金引き上げの環境整備や高齢者の就労促進も検討するという。
自民党は7月10日に行われた参院選挙の公約の一つに、「労働生産性の向上を支援し、更なる賃上げにつなげるとともに、最低賃金について時給1000円(全国加重平均)を目指します」と掲げていた。今回の引上げではまだ遠く及ばず、1000円に引上げられたとしても最低限度の生活を送るのでやっとだ。今後の安倍内閣がどのように最賃引き上げに取り組んでいくか注視する必要がありそうだ。
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