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拉致問題にも影響あり? 人件費の安さで「経済特区」をアピールする北朝鮮

日本人拉致問題に進展が見られない中、2014年10月20日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、いまだ謎が多い北朝鮮への現地取材を敢行していた。

44年前の「よど号ハイジャック事件」の容疑者への直撃インタビューや、北朝鮮政府が韓国と共に開発した経済特区を紹介し、いずれも拉致問題と無関係ではない状況を伝えた。

高収入の女工でも「月収1万3000円」

1025tv北朝鮮の平壌国際空港では、現在ターミナルの拡張工事が進められており、到着後の飛行機から空港へ向かうバスの中でそれが見て取れる。その車中に驚きの声があがった。

「みんな手作業だ。馬鹿げている」

そこには広大な建設現場で、作業員たちが建設重機なしのほぼ手作業で工事を行う光景があった。それでも、金正恩氏が第一書記に就任した2年前から、平壌ではカラフルなビルが立ち並び新しいレジャー施設が開業されるなど、開発が加速している。

南北を分かつ軍事境界線を越えて、韓国からバスで北朝鮮へ訪れる投資家の集団がいる。目的地は南北経済協力の象徴として2004年に竣工した「開城(ケソン)工業団地」だ。

華々しいスタートを切ったはずだったが、北朝鮮による2006年の弾道ミサイル発射実験や去年の核実験で南北の関係が悪化。開城工業団地からは一斉に韓国への引き上げが始まり、一時閉鎖に追い込まれた。

現状を打開するため、9月から外国に住む韓国人投資家たちを招待し、進出を促している。日本に住む投資家のひとりに話を聞くと、「ここは韓国が造った施設なんです。北朝鮮なんだけど、韓国と同じ」と明かした。

一部再開した工場のひとつを見てみると、北朝鮮の女性従業員たちが黙々とマグカップにシール貼ったり、女性の下着を縫ったりしていた。デジタルカメラ向けのレンズなど先端技術の製品も作っている。彼女たちの月給は1万3000円程度というが、北朝鮮国内では高収入の部類に入る。アジアでは群を抜く人件費の安さだ。

韓国の経済援助で日本の「制裁カード」が弱くなる

しかし工業団地に実際に進出してきた企業は、計画の2000社に対し、わずか120社ほど。工業団地側も必死で、親睦会らしきパーティーで投資家たちを広報官に任命し、世界中でPRしてもらおうとしていた。

さらに北朝鮮は、韓国との接近を図っており、10月4日には北朝鮮の幹部が韓国を訪問し、南北協議再開の合意を取り付けた。

コリアレポート編集長の辺真一氏は、拉致問題について「(解決に向けた)進展の日は近い」と未来予測したものの、南北接近に対する懸念も表した。

「南北の関係が改善して韓国の経済援助が入っていくと、せっかく日本が持っている『制裁カード』を巧みに駆使できない。拉致問題に影響を及ぼしかねない」

番組では、別荘地のような山間部にある「日本人村」も取材した。ここには「よど号ハイジャック事件」の容疑者たちが、北朝鮮政府に守られるように暮らしている。

「よど号」といっても分からない世代が増えているが、この事件は1970年、赤軍派の学生ら9人が北朝鮮への亡命を要求して起こした飛行機ハイジャック事件だ。

よど号容疑者「我々の知る限りのことを話したい」

ハイジャックに関しては反省し、「被害者にお詫びしたい」と言った彼らだったが、有本恵子さんら日本人の拉致に関する容疑は濡れ衣だとして、「無関係」と憤りを隠さなかった。

小西隆裕容疑者(69)は、もしも日本政府の調査団が北朝鮮に派遣されてくれば、喜んで調査に協力する意向を示し、こう話した。

「我々の知る限りのことを話したい。(新たな事実も明らかになる可能性が)全然ないことはないと思う。そして初めて(拉致事件は)解決される」

彼らは北朝鮮国民より優遇された生活を送っているようだが、日本に帰りたいという思いは常にあるようだった。しかし強制的に拉致されて北朝鮮に連れ去られた被害者には、彼ら以上に望郷の思いがあるはずだ。容疑者たちには、本当にできうる限りの協力をしてほしいと思った。(ライター:okei)

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