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賃金不払いは当たり前、労災で虚偽申請も 厚労省「ブラック企業リスト」がひどすぎる

1つ1つの事例を見ていくと、酷いものばかりです

1つ1つの事例を見ていくと、酷いものばかりです

これまでも各都道府県の労働局のサイト上で送検企業を公表されていたが、社名が伏せられていたり、都道府県によって掲載期間が統一されていなかったりしたため、周知効果は薄かった。厚労省は昨年12月末に決定した「過労死等ゼロ緊急対策」の取り組みの1つとして、報告を一元化して公表することを決め、実施に踏み切ったという。

同省の労働基準監督課の担当者はキャリコネニュースの取材に

「社会全体で長時間労働削減への意識が高まったり、企業の遵法意識促進に繋がればと思っています」

と話す。リストは毎月更新する予定だが、正確な日程はまだ決まっていない。

「手探り状態で始めたこともあって……。これから決めていきたいとは思っています」

違反事例を見ると、「労働者に安全帯を使用させることなくゴンドラの作業床で作業を行わせたもの」など、労働者の生命を危険にさらすものも多い。賃金関係のものだと、以下のようなものが寄せられている。

「労働者19名に1か月間の定期賃金約362万円を支払わなかったもの」
「知的障害のある労働者3名に、東京都最低賃金を下回る賃金しか支払わなかったもの」

労災関連では、「約300日間の休業を要する労働災害が発生したのに、休業3日とした虚偽の労働者死傷病報告を提出したもの」という悪質なケースもあった。

「まだ労基に駆け込んでいなかったり、証拠が見つからず処分されていない案件も多いはず」

今回の公表を、ブラック企業アナリストの新田さんは「段階的な進歩を感じる」と好意的に受け止める。

「私が3年前に厚生労働省にインタビューした際は、『省として、ブラック企業というレッテル貼りは避けたい』というスタンスでした」

リストには、製造業や建設業の社名が目立つ。今回の公表では労働基準法だけでなく労働安全衛生法も含めたため、全体の3分の2程度が安全衛生法違反となり、必然的に特定業種への偏りが見られたと考えられる。

一方で、事務系業務やIT系などの会社は少ない。こうした会社での違法な長時間労働は、タイムカードを早く切ったり労働時間を記録していなかったり、事実そのものがもみ消されている可能性が大きい。

「そもそも労基署が動き、是正勧告を出し、それにも対応しないような悪質な会社が書類送検に至るのです。まだまだ労基に駆け込んでいない案件や、労基が乗り込んでも悪意の証拠が見つからず処分されていない案件も多いのではないでしょうか」

ネットでも、「うちの会社が入っていない。おかしい」といった声や、「このリストに載るだけまだまし」といった嘆きが聞かれていた。

新田さんは、

「あとは各都道府県の労働局の『やる気次第』なところもあるでしょう。皆注目しているので、ぜひこれからも厳しく指導を期待したいです」

と、今後の指導への期待を見せた。

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