貧困で病院に行けず、気づけば末期がんに 民医連調査の悲惨な事例 | キャリコネニュース - Page 2
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貧困で病院に行けず、気づけば末期がんに 民医連調査の悲惨な事例

早期の受診が好ましいが……。

早期の受診が好ましいが……。

都道府県別に見ると経済的な事情が背景にある死亡事例は福岡県が最も多く、9件だった。男女別では男性が8割近くを占め、年齢分布では50代以上が9割に上った。

報告書では、医療費の支払いに不安を感じた人が受診を躊躇し、手遅れになるケースが記載されている。ある男性は、60歳まで土建業で働いた後、仕出し業の会社でパートとして働いていた。パートの収入と年金収入があったが、生活を維持するのに精一杯で、保険料は支払えていなかった。妻とは離婚して音信不通になっており、2人の娘とも連絡が取れない状態だった。

痰や喀血を伴う咳が半年ほど続いたが、「病気に対する不安や医療費の支払いが怖くて受診しなかった」という。受診したときにはすでに「肺癌末期・脳転移」の状態であり、手の施しようがなかった。

40代の女性は、20代のときに交通事故に遭い、左足に麻痺が残ってしまったため、それ以降働いていなかった。生活保護の申請をしようとしたこともあったが、関係の悪い両親に連絡がいくことを嫌で、申請を取りやめていた。入院する2~3か月前から、食事量が減り、布団から自力で出ることができなくなっていたものの、「金銭的な問題があり本人が受診を拒否していた」という。入院から28日で、褥瘡感染(じょくそうかんせん)からの敗血症により亡くなった。

医療費が支払えずに、持病の治療を中断してしまう人もいたという。50代の男性は、糖尿病の症状が悪化し、調理師として働き続けることができなくなった。妻の収入で生計を立てていたが、離婚したため、無収入に。アパートは妻の名義で契約していたため、離婚と同時に管理会社から退去を迫られることになった。保険料も妻が支払っていたため、離婚後は無保険となっていた。無収入の上、無保険となった男性は、糖尿病の治療を中断。症状が悪化して、死亡に至ったという。

福岡・佐賀民医連「これは氷山の一角にすぎない」

今回の調査結果について、福岡・佐賀民医連の担当者は、「報告された事例は、氷山の一角にすぎない」と語る。

「福岡・佐賀民医連に加盟しているのは、一部の事業所にすぎません。大きな病院などは入っていません。調査対象の事業所だけで9件もの死亡事例が報告されていますが、これは氷山の一角にすぎないと思います」

経済上の理由で受診を躊躇している人には、「無料低額診療事業制度を活用してほしい」と呼びかけた。同制度は、「低所得者」「要保護者」「ホームレス」「DV被害者」「人身取引被害者」などの生計困難者が、無料または低額で治療を受けることができる制度だ。また「3割の窓口負担を減らすことも必要だ」と訴えた。

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