「若者の狩猟離れ」が深刻化 クマ駆除に支障きたす可能性、猟友会は会員確保に奔走中 | キャリコネニュース
おかげさまで10周年 メルマガ読者数
65万人以上!

「若者の狩猟離れ」が深刻化 クマ駆除に支障きたす可能性、猟友会は会員確保に奔走中

クマの目撃情報や被害が相次いでいる。5月27日には秋田県仙北市で61歳の女性が襲われる被害が発生し、6月3日にも福島県会津若松市の中心部でクマの目撃があった。

人の住む場所でクマが目撃された場合、市町村は各地域の猟友会に駆除依頼をする。会員がクマを射殺することで人間や民家、畑などの被害を食い止める訳だが、その猟友会が今、深刻な人手不足と高齢化に悩んでいる。

警官の拳銃でクマを仕留めるのは無理「一発で仕留めるのが最も安全。猟友会にしか出来ない」

自然と共生するには、駆除もやむを得ない時もあります

自然と共生するには、駆除もやむを得ない時もあります

猟友会は、銃やわな、網などの狩猟免許保持者による団体で、野生鳥獣の駆除や保護に取り組んでいる。環境省の発表では、狩猟免許の取得者数は1976年の約51万8000人をピークに減少傾向にあり、2014年にはおよそ19万4000人と40万人も減っている。高齢化も深刻で、免許取得者のうち半数以上が60代以上。20代はごく僅かだ。

大日本猟友会専務理事の浅野能昭さんは会員数減少の理由を「自然保護の潮流と銃規制強化の影響」と話す。キジ、カモなどの野生生物は狩猟対象として見るのが一般的だったが、1971年の環境省設立を機に、世の中が動物の保護・保全といった視点に変化していったという。

銃は、免許の取得から所持申請まで手続きが煩雑で、新たに持つ人が少ないのだそうだ。狩猟免許は散弾銃やライフル銃などの「第一種銃猟免許」、空気銃の使用を許可する「第二種銃猟免許」、「わな猟免許」、「網猟免許」の4種類に分かれている。どの免許を取得するかは自由だが、かつては第一種・二種の免許取得者が最も多く、狩猟免許取得者の9割以上を占めていた。それが今や、半分程度にまで落ち込んでいる。

会員の減少と高齢化がこのまま進めば、効果的なクマの駆除が出来なくなる恐れもある。

警察官の持つ拳銃では威力が弱いため、クマの射殺は不可能だ。手負いにすれば反撃される危険性がある。「猟銃を使って一発で仕留めるのが、最も安全な駆除方法。我々にしかできない仕事です」と、浅野さんは猟友会の活動意義を強調する。

近年ではジビエ料理が浸透し始めたこともあり、鹿やイノシシなどは仕留めた後売られるケースもあるが、クマは規制上、肉も毛も売買されることはほとんどないそうだ。

狩猟免許試験の日程を休日にし、働いている人の取得ハードルを下げるなど工夫

会員数減少を重く受け止めた猟友会や自治体は、会員獲得に乗り出している。

秋田県は2013年から狩猟免許の試験日を休日に設定し、平日働いている人が受験しやすいようにした。翌2014年からは若者に狩猟の魅力を伝えるための特別フォーラムを実施し、年配の猟友会会員にやりがいを話してもらったり、ジビエ料理の試食を開催したり、社会貢献性の高さをアピールしたという。

その甲斐あってか狩猟免許合格者数は年々増加し、昨年2016年には108人と3桁を超えた。県自然保護課の担当者は「辞める人のほうが多いので猟友会の人数はすぐには増えない」と言うが、「若い人は増えつつある」と、吉報であることは間違いないようだ。

大日本猟友会も2013年に「目指せ!狩りガール」というウェブマガジンを作り、女性への訴求に取り組んだ。統計を取っていなかったためキャンペーンの効果を正確に把握するのは難しいものの、2015年に全国で1183人だった女性会員は、翌年には1571人と約400人増えている。

猟友会には、増え続けるシカやイノシシの数を適正化することで、農作物や植物への被害を食い止め、生態系を維持するという役割もある。駆除に対する報酬が無い市町村も多いため、活動はほとんどボランティアのようなものだが、興味のある人は、免許取得を検討しても良いかもしれない。

【PR】注目情報

関連記事

次世代バナー
次世代バナー

人気記事ランキング

  1. 「お前は客じゃない!」外資系企業の支配人がクレーマーを一喝 「お客様は神様」ではスタッフを守れない
  2. 「車で甲子園に連れて行ってくれた友人にガソリン代を請求された」 不満を漏らすスレ主に「言われる前に出せ」と非難殺到
  3. マツコ、「老後に2000万円貯蓄」に苦言 「もう年金制度は崩壊するんですよっていう発表と一緒だよね」
  4. 小林ゆみ・杉並区議の杉田氏擁護が炎上 「『生産性』は『子供を産めるかどうか』。文脈切り取って感情的になってはいけない」と主張
  5. 女性が働き「父親」という文字すらない――中国・モソ族は「女性最強国家」
  6. ハイスタ難波、ZOZO前澤社長に感謝「マリンスタジアムでAIR JAM開催できたのはユウサクのおかげ」「勘ぐる人はヤボなだけ」
  7. 【最新版】商社・卸売業界の働きやすい会社ランキング 1位は住友商事「30歳で額面1000万円超え」「特に不満に思う点はありません」
  8. 恵方巻、「廃棄されるものを作る必要がある?」とスーパーが問題提起 「もうやめにしよう」「売上至上主義に違和感」
  9. 「30代童貞無職でも優しくされたい!」に注目集まる 男性主義とフェミニズム、どちらにも行き場がない男性たち
  10. 「スクショNG」どこまで? 文化庁「二次創作スクショは今後検討。海賊版を撮ることが対象」

アーカイブ