2017年の新人は「穴埋めドリル式思考」? 新人研修講師らは「真面目で誠実」だが「言動に緩さ・甘さが目立つ」と評価
人材育成を行うヒップスターゲートは、2017年度の新入社員に対する労働意識調査の結果を6月23日に発表した。対象は、同社が提供する新入社員研修で講師を担当した119人と、研修を受講した1525人。
与えられた仕事は一生懸命に取り組むが、指示待ちの傾向
講師に新入社員の長所をそれぞれ挙げてもらったところ、長所は「誠実で真面目である」(12%)、「分析力があり思考力が高い」(11%)、「チームワーク・協調性がある」(10%)が上位3つにランクイン。昨年長所として最も多く挙げられていた「素直さ」(17%)は、今年は10%にまで減少し、4位だった。
短所は「言動に緩さ・甘さが目立つ」(23%)、「主体性・積極性・発信力が弱い」(19%)が上位を占めた。講師からは
「厳しい意見であっても受容する謙虚な姿勢がある」
「非常に真面目である。少々おとなしい印象もあるが、与えられたテーマや課題をコツコツと誠実に取り組む」
などの好ましい印象が出た一方で、
「集中力、自制心において課題があります。課題以外のテーマを話したり、別の作業をするなどがありました」
「与えられた仕事は一生懸命に取り組むが、自ら考えて行動することは少なく、指示待ちの傾向がある」
という辛辣な意見もあった。長所はどのキーワードも10%もしくは一桁台となっており、分散したことが分かる。しかし短所では「言動に緩さ・甘さが目立つ」が唯一20%台を記録している。リリースではこれらを踏まえ、
「今年多く挙げられたキーワードが『幼さ』です。昨年も『学生言葉が抜けない』などの関連表現として『幼さ』が挙げられていましたが、今年は、それとは少しニュアンスが違います」
と指摘する。「自分たちを取り巻く社会の厳しさについて、これまでの新入社員とは明らかに認識が違います」と特徴を述べる。
指導する側は「シンプルな指示を出し、工程の背景を説明し、少し上の目標を設定する」ことで対処
これらの講師からの評価・コメントと、新入社員らに聞いた労働に対する意識調査の結果を合わせ、今年の新人を「穴埋めドリル式思考」と名付ける。その心は
「真面目で協調性があるが、取り組み態度や意欲に一過性があり、緊張感を保ったり思考を深掘りすることが苦手」
だそうだ。「置かれた環境や立場を理解し、周囲の期待に一定水準で応える」ことができる一方、「コミュニケーションが限定的で視野が狭」く、また「出来る事と出来ない事の判断が早く、目標設定が甘いため、真剣さ、緊張感が続かない」と評価。
こうした特徴を踏まえて同社は、今年の新入社員への対策として「指示内容をシンプル」にし、「周囲への配慮と責任感が身に付くよう、仕事の前工程と後工程を説明」することで組織の一員だと自覚させ、「現状スキルより少し挑戦的な目標を設定」するよう助言する。
「強調性や真面目さの体現も、私たち先輩社員とはズレがあり、多分に幼さが残ります。指導者はこのズレを認識して新入社員を指導しなければなりません」
と、指導する側の意識変革の必要性も訴えていた。