都議選惨敗の「ブラック企業経営者」が負け惜しみ 「型にはまらないと中高年に支持されない」
「ブラック企業」を自称するIT企業・セブンコードの代表取締役である濱野秀昭氏(36)が7月2日に行われた東京都議会議員選挙に落選した。濱野氏は長時間労働の規制には反対、喫煙者の健康保険料を値上げする、といった政策を掲げて新宿区から出馬していた。
同区では、定数4に対して7人が出馬。都民フ、共産、公明、自民の候補が当選し、自民のもう1人の議員と民進の候補が落選した。無所属で出馬していた濱野氏も1971票であえなく落選。残念ながら最も得票数が少なく、供託金の60万円も没収されることとなった。
敗因はどこにあるのか。今後も政治に挑戦し続けるのか。3日、本人に話を聞いた。
得票数1971票で惨敗するも「主張や政策を変えるつもりはない」
濱野氏は「5000票という目標を果たせなかった」と悔しさを滲ませる。敗れた原因は「若い人が選挙に行かなかったから」と語る。
「若い人や頭の柔らかいノリのいい人はあまり選挙に行きません。そうした人たちに思いを届けたかったのですが、上手くいきませんでしたね。投票に行く中高年は個々の候補者よりも政党で判断します。それも仕方ありません。250人も立候補者がいるわけですから、誰が何を言っているのか精査するのは難しいと思います」
東京都選挙管理委員会の調査によると、過去3回の都議会議員選挙では、年齢が上がるほど投票率も上がっている。前回の都議選でも20代の投票率が20%強だったのに対して、60代の投票率は50~60%ほど。中高年ほど選挙に行くのが実態だ。
そうした人たちの支持を集めるためには、「変わったことをしちゃいけない」「型にはまる必要がある」と感じたという。濱野氏は選挙期間中、24時間自身の生活を生放送したり、あいうえお作文を選挙カーから連呼したりしていた。あいうえお作文というのは、例えば
「は:ハヤシライスが好きです。
ま:まぁまぁイケメン
の:ノープロブレム」
といった具合だ。しかし議員になりたいのであれば、「もっと無難な選挙運動を行うべきだった」と反省する。ただ、「主張や政策を変えるつもりはない」そうだ。
「公明党や共産党はアムウェイの洗剤みたいなもの」
しかし若い人の投票率が低いのは、必ずしも悪いことではない。それは「平和な証拠」だからだ。
「現状に不満もなければ、困ってもいない。だから政治に新しいことを求めません。それに個々の候補者の政策もあまり気にしません。洗剤で言えば、とりあえずアタックのようなすでに知っていて、知名度の高いものを買い続けるようなもの。公明党や共産党はアムウェイの洗剤みたいなものでしょうか。中でしっかりつながっているわけですからね。誰も新しい洗剤には見向きもしません」
今回、大勝利を収めた都民ファーストには「個別の政策というよりも、もっと政治をわかりやすくして盛り上げてほしい」と語った。著名なタレントにも出馬してほしいと期待を寄せる。
「例えばロンドンブーツ1号2号の田村淳さんやキングコングの西野亮廣さんは向いているんじゃないでしょうか。もし立候補すれば若い人に響くと思います。しかしすでに地位がある人は、わざわざ落選のリスクを取らないのかもしれませんね。マック赤坂さんや僕のような人たちが血反吐を吐いて地ならしして、世間が慣れた頃にああいった人たちが出れば、つまらなくて堅苦しい政治が面白くなるんじゃないかと思います」
今後、お金があれば再度挑戦することもありうるという。
「今回は票が足りず、供託金の60万円を没収されることになりました。選挙カーやポスターの作成に掛かった費用も公費では負担されません。結局、160万円くらいの自腹を切ることになりました。お金が集まればまた出るかもしれません」
なおセブンコードの従業員は濱野氏の出馬に対し、「またやってるな」という反応だったそうだ。