人手不足を訴える企業が7割超 「パートの時給を正社員の給与水準以上に引き上げた」という飲食店も
中小企業の70.9%が人手不足の影響を受けているか、影響が懸念されるという。日本商工会議所が7月31日に発表した調査によって明らかになった。業種別では、建設業(81.8%)とサービス業(71.7%)が深刻な人手不足に見舞われている。
調査は7月13日~20日にかけて、3530社を対象に行われた。自社の人手不足だけでなく、取引先の人手不足の影響が出ている(もしくは懸念される)と回答した企業も29.5%に上った。
ソフトウェアの会社は「今後は外国人材の採用を検討」
人手不足の影響について複数回答で聞いたところ、「売上維持・売上増への対応が困難」(53.3%)が最も多く、「従業員の時間外労働の増加や休暇取得の減少」(48.8%)が続いた。人手不足への対応を複数回答で聞いたところ、「既存従業員の多能工化・兼任化」が53.5%で、「採用活動の拡大」が51.6%だった。
静岡の建設会社では、「従業員の時間外労働が増加したため、外注化や採用活動の拡大に取り組んでいる」という。また札幌にあるソフトウェアの会社は「長期間にわたって採用人数を確保できていないため、今後は外国人材の採用を検討せざるを得ない」と回答した。
他にも「人手不足に伴う人件費や外注費の上昇」(建築材料卸売業)、「人手不足が深刻なため、パートの時給を正社員の給与水準以上に引き上げたが、それでも応募があるか不安」(飲食業)といった声が上がっている。
調査結果が報じられると、ネットでは、「人手が足りないのになぜ賃金を上げないのか」という声が相次いでいた。人手不足や有効求人倍率の上昇が盛んに報じられているが、それならば待遇を改善してくれればいいのに、と思う人が多いのだろう。
人手不足で倒産した企業は2017年上半期で49件
人手不足のせいで倒産してしまう企業も相次いでいる。帝国データバンクが7月10日に発表した「『人手不足倒産』の動向調査」によると、従業員の離職や採用難で倒産した企業は2017年上半期には49件に上り、2年連続で前年同期を上回った。2013年1月から2017年6月末の累計は290件で、そのうちの105件が建設業だった。次に多いのはサービス業の92件だった。調査報告書では、「今後、人手不足を理由に計画どおりの売上高を確保できない企業や、人件費上昇分を転嫁できずに収益が圧迫される企業などが増える」可能性があると指摘した。