「これからどうすればいいかわからない」 昇進をきっかけに退職した29歳に励ましの声 「30手前は自分を見つめ直す最後のタイミング」
9月12日、はてな匿名ダイアリーに、「これからどうすればいいかわからない」という投稿があった。投稿者は現在29歳。上司から「あなたを管理職にしたい」と打診され、その場で「辞めます」と言って退職したという。
しかし3カ月が過ぎ、「今とても苦しい」と訴える。これから自分がどう生きて行けばいいか分からないというのだ。これに思うところのある人は多かったようで、はてなブックマークは800以上付き、様々な意見が寄せられていた。(文:okei)
順調な人生だったが…「その場で『辞めます』と言った」
投稿者は、幼いころから大人にも友人にも好かれ、順調な人生だったことを振り返る。成績もよく、推薦で私立の高校に特待生で入学。特に学びたいこともなかったが、周囲と同じく大学に進み、就職も第一希望に入社できたという。
だが、まったく苦労がなかったわけではない。家にお金が無かったため、大学は新聞奨学生として学費と生活費を稼ぎながら通った。学費の元をとろうと就活を頑張ったが、入社後配属されたのはカスタマーセンター。「電話が死ぬほど苦手だったので社会人生活終わったと思った」と書いている。
それでも努力の結果、3か月後には「ナンバーワンになっていた」というから、優秀な人材であることは間違いない。ところが、順調に思えた7年目、転機を迎える。上司から「管理職にしたい」と言われたのだ。
「一瞬で頭にたくさんのことが浮かんだ。残業、満員電車、責任、会社への帰属意識。どれも人生で楽しくない要素ばっかりで、急になんでここにいるのかわからなくなった」
「ちょっと考えて、その場で『辞めます』と言った」
一生懸命やれば何でもこなせる投稿者だが、管理職にはマイナスイメージしかなかったようだ。
「元の道に戻るとしても一度立ち止まって自分を見つめ直すのはいいこと」
しかし、それから3か月。「ここで初めてレールを外れた」と表現し、今後の人生の選択に迷い苦しんでいる。これまで誰かが示してくれたレールを外れないよう、「受動的に過ごしてきたツケ」だという。ただ、初めて自分の声を受け入れたことに後悔はないとしていた。
はてなブックマークには様々な意見が寄せられたが、多かったのは「単純に電池切れなんじゃ説をとなえたい」など、投稿者を励ます声だ。
「結局元の道に戻るとしても一度立ち止まって自分を見つめ直すのはいいこと。30手前はリスクなくそれができる最後のタイミングかもしれない」
一方で、「どうして、管理職を一度もやらずに辞めるのかわからない。平職から管理職になったら、自分が管理しやすいように仕事を変えられるチャンスだと思うけど」と、管理職昇進を奨めるコメントもいくつかある。
管理職に魅力を感じない若手社員たち
しかしながら、向き不向き以前に「管理職になりたくない」という若手は多い。筆者の周囲でも管理職になったとたん「向いてない」と会社を辞めた30代の独身女性がいる。
人事コンサルティングの曽和利光氏がキャリコネニュースに寄せた記事では、いま多くの会社では、社員がプレイヤー志向でマネジャー(管理職)適任者が不足しているという。「できるのにやりたくない」というよりも「できそうな人がいない」のが問題だとも。
この記事では、管理職に就くことによって精神的に成長するメリットを説いていた。投稿者も管理職になれば、自発的に考えられない自分から脱却できたのかもしれない。
だが、会社ではそうしたメリットを感じることや、魅力的な上司がいなかったのだろう。「これからどうすればいいかわからない」けれど、管理職を拒絶する気持ちだけははっきりしていたのだ。良し悪しは別として、こうした人が少なくないことが、大きな反響に繋がったのではなかろうか。
なお、投稿者は追記として、ネットに考えを書くことに抵抗があったが、反応が想像以上に温かいものだったことに感謝し、「書いてよかった」としている。