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「電通に対して罰金50万円は少ないのではないか」 高橋まつりさんの母と弁護士が労基法違反の罰則に疑問

川人博弁護士(左)と高橋幸美さん(右)

川人博弁護士(左)と高橋幸美さん(右)

幸美さんは、判決を受けて、

「本日の判決が出た今、すべての企業が労務管理を改善していただきたい。そして、国は今までの多くの犠牲者を生んでいる異常事態を認識し、是非とも過労死をなくす為の法律改正をして頂きたい」

とコメントした。また、亡くなったまつりさんに伝えたいことは何かと記者に問われると、

「生きて帰ってきてほしい。それしかないです。(中略)まつりのことを語っていると、今でも生きているのではないかとさえ思います。本当にまつりに会えなくなってしまったとは思えない。未だに死を受け入れることができません」

と心境を打ち明けた。電通は、社員の働き方を見直すとしているが、「にわかには信じることができません。これからも社会全体で監視してほしい」と呼び掛けた。

遺族である自身がメディアで発言することについては、「社会への問題提起になる」と感じているといい、「今日も強い怒りを持ってコメントすることが私の使命だと思った」と語った。今後も「シンポジウムや学校でワークルールを啓発する機会があれば参加していきたい」という。

「本人のプライバシーや内部告発者の情報が会社に開示されるのも問題」

川人博弁護士は、今回の判決について「刑事裁判で電通の有罪判決が確定したことは重要な意味を持つ。会社への影響も大きい」と評価した。また9月22日の初公判に続き、この日も同社の山本敏博社長が出廷したことについては「経営者への予防効果は高い」と述べた。

しかし、「これだけの大企業に対して、たった50万円の罰金というのはどうなのか。しかしこれはあまりにも少ないというのが多くの人の受け止め方ではないか」とも語った。

労基法では、違法な長時間労働に対する罰則は「6か月以下の懲役または30万円以下の罰金」と定められている。今回の裁判では、まつりさん含む4人の社員の違法な長時間労働が問われていたが、それでも罰金の上限は120万円にしかならない。この上限金額そのものが少ないのではないかというのだ。

この点については、幸美さんも「労働基準法違反により労働者が死亡した場合の罰則が強化されるよう法律の改正を望みます」と訴えている。

また現在は、労災申請をする際に、本人のプライベートな情報や内部告発者の情報が労働基準監督署に提供される。「そうした内容が刑事裁判で会社側に開示されることには問題があるではないか」とも指摘していた。

電通は同日、「当社の労働基準法違反に対する判決について」という文書を公開し、「当社はこの判決を厳粛に受け止め、関係者の方々に心よりお詫び申し上げます。また、社会の一員として、企業のあるべき責任を果たせなかったことを深く反省しております」と謝罪している。

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