「朝活」や「イクメン」に夢中で仕事がおろそかに… それってSNSの悪影響では?
夜のダラダラ残業を辞めて、早朝からさわやかに働こう――。そんな取り組みを推奨する会社が増えている。朝4時に起きる「ヨジラー」、5時起きの「ゴジラー」なる人もいるが、BSジャパンの「ワーキングデッド」2014年11月20日の放送では、そんな「朝活しすぎ」の働くゾンビを紹介していた。
朝活とは、夜よりも朝に自分の時間を作って活動しようというもの。内容はマラソンやゴルフ、フラダンスや英会話、読書会など人それぞれだが、某証券会社に勤務する松浦清美(30)は、朝活のしすぎで職場に頻繁に遅刻するようになり、出社しても一日眠そうにぐったりしているそうだ。
上司が部下に「朝7時からの会議」を要求
労働時間を減らそうという国の方向性や、ワークライフバランスを大事にしようという動きを背景に、活動時間を早朝にシフトする人が増えている。それ自体は悪いことでもないが、松浦さんのようにハマりすぎて本業に悪影響を与える人がいるのは困る。
これが上司だった場合、巻き込まれる部下は災難だ。渋る部下を朝活に誘い、会議は朝7時開始に設定される。再現VTRでは、「朝活し過ぎデッド」に侵された社員たち全員がゾンビ化し、朝から職場全体の雰囲気がどんよりと淀んでいた。
番組ゲストでマーケティングアナリストの原田曜平さんは、「朝活」という言葉がファッションになり、
「何でも朝活すれば称賛を得られると勘違いする人がいる」
と指摘。「それは本当に朝やるべきことなのか」と中身を考えた活動が大事だという。
朝活はそれに参加しているだけで、何となく他の人より一歩抜け出したような満足感を与えてくれる。しかしその分、夜は他人より早く寝ているのだから、睡眠時間を短縮しない限り大きな生産性の違いを生むとは限らないと思うのだが…。
続いて番組では、仕事より育児を優先させて周りに迷惑をかける「過剰イクメンデッド」を取り上げた。某衣料品メーカーに勤務する藤森俊文(35)は、朝から社内の人々に自分の子どもの写真を「かわいい!」と強引に見せてまわる。
荷物運びはダメ「ケガすると子どもを抱っこできなくなる」
藤森は、机の上に子どもの写真を飾り、荷物運びを断る。その理由は、「手をケガすると、子どもを抱っこできなくなるから」というものだ。
子どもにインフルエンザをうつさないようにと、会社の経費を使ってタクシーで帰宅するなど目に余る行動も。経理担当の女性は、呆れてこう語る。
「育児はホントに大切だと思うんですけど、それを理由に仕事をサボったりラクしたりはどうなのかと。真面目に育児している社員に失礼だと思う」
藤森は会社に5歳の息子を連れてきて、会議中でも一緒に遊び、さらに同僚に子守りまでさせていた。子どもの相手ばかりしているため、取引先との電話がいつのまにか赤ちゃん言葉になってしまう始末だ。原田さんはこの状況を「子どもが自慢のツールになりすぎている」として、背景をこう解説した。
「SNSに子どもを載せれば誉められるという感覚で、会社に連れてきて、当たり前に受け入れられると勘違いしてしまう。でも自分が自慢したいだけで、結局子どものことは一切考えてあげていない」
ネットの「チヤホヤ」をリアルに持ち込む愚
いずれの再現VTRも大げさすぎると思えるが、2つの「ゾンビ」には、SNSを使ってチヤホヤされやすいネタという共通点があると感じた。
他人が寝ている間に起きてきて、意識の高そうな行動をすれば、きっと「素晴らしい」と言われることだろう。子どもの写真をSNSにアップすれば、「カワイイ」とチヤホヤされるに違いない。
でも、そんなノリをリアルにそのまま持ち込めば、ついていけなくなる人もいる。それで仕事がおろそかになれば、酔っている自分は満足かもしれないが、同僚にとって迷惑な存在でしかなくなるだろう。(ライター:okei)
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