「転売スクール」なるパワーワード出現 講座料金32万円も、「ひっかからないよう注意すべき」と識者は警鐘
ネット上で「転売スクール」という言葉が話題になっている。事の発端は、オリジナル作品を販売するイベント、デザインフェスタに出展していたツイッターユーザーが、自分の作品を転売目的で大量購入した客から「転売スクールの課題のためだった」と聞かされたことだった。この一件を知ったネットユーザーからは「そんなのあるのか」「意味が分からない」と驚きが広がっている。
「転売スクール」で検索すると、複数の転売スクールが見つかる。どれも、簡単な手間で一日数万円稼げると謳っていて、3000人の会員を有すると主張するところもある。主婦やサラリーマン、大学生などが月々これだけ稼いでいると実績を掲載し、やらなければ損だと思わせるような書きぶりが特徴的だ。
安いコースでも10万円、スカイプ相談や卸商品の提供も
スクールは、講師がセミナー等の対面形式で転売方法を教えたり、受講生にSNSで日々の売り上げを報告してもらい、アドバイスをしたりする形が主流のようだ。最初の体験セミナーは無料でも、実際に教えを乞う場合にはお金がかかる仕組みだ。
ある転売スクールは3コースに分かれ、最も安いコースでも料金は10万円ほどと高額だ。更に上のコースになると月2回のスカイプでの相談が出来たり、スクールが契約している卸商品を提供してもらえるなどの特典が増える。最も高いコース料金は約32万円だという。転売品の例には、エスプレッソマシンやノートパソコンなどの電化製品が並んでいる。
ITジャーナリストの井上トシユキさんは転売スクールの問題点について「本業の片手間に楽に稼げると誇張しているところ、儲けではなく、売上額を表示しているところ」と指摘する。
「2000年代前半、廃業寸前の地方のおもちゃ屋さんからレゴブロックやプラモデルを安く買い取り、オークションサイトで高く売る人はいました。そういった転売に、情報商材ビジネスをやっている人が目を付けたのでしょう。レゴやプラモデルはマニアがいるのでうまくすれば高額で売れますが、お宝商品はいつも手に入るわけではありません。その頃転売をやっていた知人も『ほぼとんとん。貯金が出来る額ではない』『儲けは出るけど楽じゃない』と言っていました」
「商品が売れない時の返品手口も、スクールで教えている可能性ある」
情報商材ビジネスは、利益と売り上げを曖昧に表記し、たくさん儲かると誤解させるのが常套手段だという。
「月に数十万円売り上げることはできても、多額の利益を出すのは難しいです」
今回転売スクールが多くの注目を集めたのは、冒頭で触れた返品希望者が購入者の姉を装い、妹には発達障害があるため本来は自分で買い物をすることが難しい、などと主張していたことも影響している。後に、障害を持つ妹は実在せず、購入者が直接連絡していたことが明らかになったというが、井上さんは「こうした返品時の手口もスクールで教えている可能性がある」と指摘する。
「マニュアルに堂々と書いているかは分かりませんが、オフラインで会った時などに、仕入れても全然売れない時はどうしたらいいか訊ねられ、伝えている可能性はあります」
転売スクールがホームページで言うように、こうしたものを利用する人は、年齢も職業も様々だという。ここ数年、フリマアプリやオークションサイトの出現で、個人同士の売買のハードルが下がっている。誰でも楽にお小遣い稼ぎができると思いがちだが、井上さんは
「商品の梱包や発想など相当な時間と手間暇がかかる。楽に稼げることはないので、転売スクールのようなものにひっかからないよう気を付けるべきです」
と注意喚起していた。