精神・発達障害のある人が「働き続けたい」と思う職場 「仕事内容が合っている」「コミュニケーションが上手くいっている」
障害者向け就労支援事業などを行うLITALICOは3月8日、精神・発達障害のある人の就労者アンケートの結果を発表した。調査は昨年5月にインターネットで実施し、同社運営の障害のある人の就労支援を行う「LITALICOワークス」利用者で、現在企業・団体などで就労中の556人から回答を得た。
今の職場で今後も働きたいかを聞くと「とても働き続けたい」「まあまあ働き続けたい」の合計が73.6%。「あまり働き続けたくない」「まったく働き続けたくない」(11.3%)を62.3ポイント上回った。
将来に不安があると「働き続けたくない」になる傾向
「働き続けたい」と回答した人の職場での満足度が高かった項目を見ると、「仕事の内容があっていると感じる」が88.8%で最多。また「業務上のコミュニケーションがうまくいっていると感じる」(84.6%)、「勤務時間があっていると感じる」「雰囲気があっていると感じる」(同84.4%)、「設備・環境があっていると感じる」(83.6%)で8割を超えている。
一方、「働き続けたくない」と回答した人の職場での不満度を見ると、最も高かったのは「キャリアの希望が持てないと感じる」(88.9%)で、次いで「給与が不満に感じる」(77.8%)、「雇用形態が不満に感じる」(65.1%)。
また「障害理解されていないと感じる」は55.6%で、働き続けたいと回答した人(10.8%)と比べ、44.8ポイント高かった。キャリアの希望や給与、雇用形態など将来の生活に向けた見通しへの不安が、長期的な就労への意向と関係しているようだ。
今年4月から精神障害者雇用義務化 今後の定着率が課題
同社は、満足度に差があった「雰囲気」「環境」とのマッチは、働かないとわからないためミスマッチが発生しやすいことを指摘。ただ近年、各地の労働局で障害者雇用においてインターン期間を設けることが推奨されている。そのため「ミスマッチ解消も期待できる」としている。
今年4月から精神障害者雇用義務化とそれに伴う法定雇用率が引き上げられることもあり、精神障害のある人を雇用する企業は増えている。一方、2017年の調査によると精神障害のある人の1年後の職場定着率は49.3%と半数以下。同社は「今後、職場への定着がさらなる課題となる」と予想している。