ノルマ未達成なら自爆営業 働く人の生活を困窮させる「ブラックな自腹の実態」
「自爆営業」という言葉を耳にしたことがある人は多いだろう。有名なところでは、日本郵便の社員が、年賀状やふるさと小包便の販売ノルマを達成するために、自腹を切って購入している、と報じられたことがあった。コンビニのアルバイト店員が恵方巻やクリスマスケーキの販売目標達成のために自爆営業をしている、という話も絶えない。
年間数十万単位で出費がかさみ、生活が切迫してしまうケースも少なくない。企業口コミサイト「キャリコネ」に寄せられた投稿を見ると、さらにブラックな自腹の実態が見えてきた。(※参照元 キャリコネ 「自腹」)
ノルマが年に20万円?!売れなければ自腹
「売り上げが予算に達成しないと、部門リーダーが自腹で商品を購入しており、それに対して周りもとくに驚いた様子がない事にドン引きし、絶対この会社をやめようと決意しました」(ホールスタッフ 20代後半 男性 契約社員)
「物販が年に5.6回有り。ノルマが決められており年に20万円ほどはある。売れない場合は自腹を切らされる」(物流サービス 30代後半 男性 正社員)
「一般職は給料が低く、昇給もほんの僅か。数字が達成出来なければ支社から呼び出し。それを防ぐために、社員が自腹を切ることもあります。他社で通用するスキルも身に付かないため、転職を決意」(カウンターセールス 20代前半 女性 正社員)
会社のノルマを達成するために身銭を切る人は多い。社内で異議を唱える人が出てこないほど、自爆営業が当たり前になっている企業もあるようだ。こうした劣悪な条件に耐え切れず、転職や退職など素早い決断をする人も多いようだ。
終電後のタクシー代、資格取得の研修…隠れ自腹に注意!
「休日出勤は当たり前のように行われていた。休日出勤に対する代休の取得は出来なかった。残業は多い。ホテルに泊まることもしばしばあった。ホテル代が自腹なのでお給料貰ってもホテル代に消費された」(アートディレクター 30代後半 男性 正社員)
「資格取得は自腹で半強制的に有給扱いにされ研修に行きます。研修費用と宿泊費で簡単に1.5ヶ月分の給料が消えます」(電気・通信設備施工管理 20代後半 男性 正社員)
「新卒入社時には、給与の高さにひかれて入ったが、実際に働くと、終電後のタクシー代金などは基本的に自腹ですし、スーツや交際費の出費もかさみ、給与面での満足度は低いです」(システムコンサルタント 20代後半 男性 正社員)
問題はノルマを達成するための”自腹購入”だけにとどまらない。終電後のタクシー代やホテル代。定期的に開催されるイベントや飲み会。資格取得のための研修。勤務外での出費を強要される局面もある。
このような出費は、「付き合い」や「スキルアップ」の名のもとにあいまいにされやすく、結果的に「隠れ自腹」になってしまう。自腹が横行している会社はまだまだ多い。企業側は従業員の給与や勤務形態をきちんと把握し、無理な出費を強要せず、必要経費のサポートを行うべきだ。
また、働く側も事前に口コミなどをチェックし、可能な限り実態を把握することが必要だろう。