堺市、教員の定時退勤日を4月から導入 「子供と元気に向き合うためには、教員自身が健康であることが必要」
教職員の長時間労働が問題となる中、大阪府堺市が4月1日から教員の定時退勤日を導入することを決めた。毎週水曜日には、17時に終業後、速やかに退勤できるようにする。併せて、8月13~17日を学校閉庁日とするという。
ネット上では「全国で一斉にやったらいい」「素晴らしい」といった声が相次いでいる。
小学校では3割、中学校では6割の教員が「過労死ライン」を超えて働く
背景には、教職員の長時間労働がある。文部科学省の教員勤務実態調査によると、小学校教諭の学内勤務時間は、1日当たり平均で11時間15分。中学校教諭では11時間32分になっている。ここに自宅での残業や休日出勤が加わるため、小学校では3割、中学校では6割もの教員が「過労死ライン」(月80時間以上)を超えて働いていることになる。
堺市教育委員会の担当者は、残業削減の必要性について次のように話す。
「子供と元気に向き合うためには、教員自身が健康であることが必要です。一人一人を丁寧に見ていくためにも、精神的余裕が欠かせません。また教員も自己研鑽をすることで、教育がより充実したものになります」
しかし、業務量が減らないままでは、定時退勤は難しいのではないか。結局、自宅での残業が増えてしまう恐れもある。担当者は、「業務があるときは確かに難しいが、定時に帰れるように努めていきたい」と話す。
今後は、教育委員会関係の業務を削減したり、保護者に理解を求めたりしていく。こうした「働き方改革」で教員の負担を減らし、定時退勤をより実効性のあるものにするという。
3月23日には、堺市の教育委員会が今回の件で作った保護者向けの文書がツイッターに投稿されて拡散。「先生のストレスが生徒のストレスになりそうだもんね」「先生方がリフレッシュして一層素敵な教室になりますように」と同市教育委員会の取り組みを歓迎する声が相次いでいる。
昨年から週1日以上の「ノークラブデー」を導入
堺市では、教員の負担軽減のため、2017年4月から「ノークラブデー」を導入。原則として平日は週1日以上、休祝日のうち月に2日以上は部活動が休みになる。大会やコンクール等で休祝日に活動した場合は、平日に振替休日を設けている。
こうした動きは他県でも出てきていて、今年3月5日には、名古屋市教育委員会が、小学校の部活を2020年度末で廃止すると発表した。中学校でも、外部指導員の拡充を目指すという。
今年3月14日には、スポーツ庁が「運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン(案)」を公表。1週間に2日以上の休養日を設ける、夏休みなどに長期の休養日を設けるといった方針が示された。