「転職時のアレオレ詐欺がなくなる」 ブロックチェーン上に上司や同僚が承認した実績を記録するスキルコイン
水谷氏は同サービスの狙いについて、こう話している。
「求職者はできるだけ自分をよく見せようとします。資格や立派な職務経歴を持っていても、実際に話してみると本当にそれだけの実力があるのか疑問に感じることがあります。逆に、実績はあるのにコミュニケーションが苦手でうまく伝えられないという人もいるでしょう。スキルコインがあれば、正確な実績を伝えることができます。採用する側も同じように客観的な職務経歴に基づいて求職者を判断できるようになります」
使い方は決して難しくない。ユーザーは4半期ごとに実績や携わったプロジェクトをアプリなどに記入し、その情報を同僚や上司に承認してもらう。情報をブロックチェーンに記録するためには2人以上の承認が必要で、しかも同じ人に2回連続で承認してもらうことはできないという。
「この仕組みが普及すれば、本当はやっていないのに自分がやったと言い張る『アレオレ詐欺』がなくなります。実績を偽れなくなれば、皆が頑張るようになり生産性が上がります。また頑張った人がきちんと報われるような社会になります」
ただ同僚と口裏を合わせれば、嘘の実績を記録することも可能になりそうだ。そうしたことが起きないよう、一度承認した情報に誤りがあった場合、承認した人の評価が下がるような仕組みを導入するという。
ブロックチェーンに記帳された情報は、後から改ざんすることも修正することもできないが、ユーザー本人が一部を非公開にすることは可能だ。また自分の情報を企業が閲覧してもよいかどうかユーザーが管理することができる。
実証実験を経て、2020年に一般リリース予定
企業は、参照料を支払ってデータベースを閲覧し、転職希望者や特定の実績を持つ人を探すことが可能だ。求職者は自分の経歴を公開し、企業からのスカウトを待ったり、直接アプローチしたりすることができる。
現在、多くの企業が転職エージェントを使って採用活動を行っている。エージェントに支払う仲介手数料は、採用者の年収の30~35%になるのが一般的で、年収500万円の人を採用すると150万円も掛かることになる。水谷氏は、エージェントではなくスキルコインのネットワークを使えば、より低コストで採用活動ができる、と説明している。
同社は今年、一部のユーザー向けに実証実験を行う。2020年には一般ユーザーや企業が使えるようになる見込みだ。