「高校野球で女子は伝令できない」? 福島県高野連「男女問わず背番号の無い人は試合に関われないルール」
高校野球福島大会で、女子記録員がマウンドに上がり伝令したことが、物議を醸している。この件は7月12日、日刊スポーツが「審判員困惑よそに珍事、革靴スカート女子部員が伝令」という見出しで報じた。
11日の、大沼・西会津・坂下・猪苗代・湖南高校ら連合チームと長沼高校の対戦でのこと。長沼高校が0-5でリードされた場面で、長沼高校側で「革靴に制服姿の女子」が伝令したという。記事では県高野連担当者の「あれっ?いいの?って感じでまずいなと思った。本部に問い合わせようとしたら、終わってしまった」というコメントも報じられていた。
ネットでは、県担当者が「女性がマウンドに上がったことに困惑している」と捉えた人らから
「服装の問題かと思ったら女子NGなのか」
「マウンドって土俵だったのか」
という反応が出ている。
「女子部員登録」は選手登録とは別のもの
しかし、福島県高野連の理事長は、こうした受け取り方は誤解だと語る。
「性別に関係なく、選手登録していない人、背番号のついていない人が試合に関わるのがだめなんです。男でも女でも関係ありません」
高校野球はプロ野球とは異なり、マウンドに監督が上がることも禁じられている。そのため、監督の指示や戦術の確認は伝令役の選手が伝えることになっているが、伝令は、選手登録された選手でないと出来ない決まりになっているという。
記事では記録員について「女子部員登録もされている」と書かれているが、これは、
「選手登録とは別のものです。試合に参加するには部員でなければならないので、マネージャーが部員登録されているのはどこのチームでも同じです」
と説明した。今回、ベンチ入りしたのは男子部員9人と女子記録員1人だったため、
「監督が、キャッチャーの子など1人を呼んで伝令する、というのが正しいやり方だったと思います」
と指摘していた。
甲子園では2017年から条件付きで、女子マネージャーのグラウンド立ち入りが許可
今回のケースでは、あくまでも女性差別の意味合いはなかったようだ。ただ、高校野球での女性の立ち位置は、これまでも何度か議論を呼んでいる。
2016年の甲子園では試合前、大分高校のマネージャーがユニフォーム姿でグラウンドに立って練習に参加し、大会関係者に制止されて物議を醸した。これを機に規則の見直しが行われ、2017年大会からは「人工芝部分での活動に制限」「学校のジャージ着用」などの条件付きで、女子マネージャーも甲子園大会での試合前の練習に参加できるようになった。
しかし、2017年の大会では東京代表・二松学舎大学付属高校の女子マネージャーが「飛び出し」の練習に加わった際、「人工芝部分での活動に制限」の規則に反したとして、注意を受けている。高野連の2018年度の大会規則でも、参加資格は
「その学校に在学する男子生徒で、当該都道府県高等学校野球連盟に登録されている部員のうち、学校長が身体、学業及び人物について選手として適当と認めたもの」
とある。女子が高校野球で選手となるのは、実質不可能になっている。
ちなみに、福島県高野連の担当者によると、
「県大会では県ごとにルールを決めています。福島県では昔から、シートノック時のボール渡しなどは、女子マネージャーが務めても良い規定になっています」
ということだった。