「死刑制度は存続させるべき」が約6割 廃止派からは「奉仕活動」で償わせるべきという意見も
「存続すべき」と答えた295人に理由を複数選択で聞いたところ、次のような結果になった。
「凶悪な犯罪は命をもって償うべきだ」70.5%
「凶悪な犯罪を犯す人は生かしておくと、また同じような犯罪を犯す危険がある」58.3%
「死刑を廃止すれば、被害を受けた人やその家族の気持ちがおさまらない」56.9%
「死刑を廃止すれば、凶悪な犯罪が増える」46.8%
もしも終身刑が導入されれば犯人が出所して再犯する心配はなくなる。しかしその場合でも死刑を存続させるべきだという人が72.9%に上った。終身刑が導入されるのであれば、死刑を廃止した方がいいという人は2.4%しかいなかった。
終身刑ではなく、あくまでも死刑の存続を訴える男性(50代前半)は、その理由をこう説明している。
「人の命を奪った人は、命を持って償うべきであり、またその覚悟を持って犯罪を犯すべきである。終身刑は、凶悪犯に税金が使われすぎる上、刑務所等では、医者、食事、娯楽に至るまで自身の経費もほとんどかからず供給されている。これでは、真面目に生活していても、お金のない人の方が辛く苦しいことになり、おかしい」
また死刑制度を廃止している国の方が多いが、「外国で廃止の傾向にあることをもって我が国でも廃止すべき,ということにはならない」(40代後半男性)という指摘もあった。
「死刑制度は国家的犯罪である」「生きて償わせることが必要」
次に、死刑制度を廃止した方がよいと考える45人に理由を複数選択で聞いた。
「裁判に誤りがあったとき、死刑にしてしまうと取り返しがつかない」64.4%
「国家であっても人を殺すことは許されない」55.6%
「刑罰であっても、人を殺すことは人道に反し野蛮である」51.1%
「死刑を廃止しても、凶悪な犯罪が増加するとは思わない」51.1%
「生かしておいて罪の償いをさせた方がよい」46.7%
冤罪だった時に取り返しがつかないという理由が最多となった。またたとえ刑罰であっても、国家による殺人は許容できないという人も多い。
自由回答では「命を断つことの正当性が本当にあるのか」(40代後半女性)、「死刑制度は国家的犯罪である」(50代前半男性)といった声が寄せられた。また30代後半の女性からは、
「(死刑よりも)生きて罪を償わせる事が必要。社会貢献をずっとし続ける事、今なら被災地での奉仕活動もありではないか?とにかく人手が必要だから。脱走防止にGPSを埋め込むのも、ありなのでは?それこそが罰」
という意見も出た。命を以て償わせるよりも、重労働や奉仕活動で社会貢献を強いる方がいいのではないかということだ。
他にも、自由回答の中には、廃止と存続のどちらがいいか決めかねる、終身刑があればその方がよいといった意見もあった。
「死刑にして欲しいという被害者側の主張も分かるが、死なせずに生きている限り罪を償わせるのもありだと思うので、難しい」(40代前半・男性)
「死にたくて殺人を犯すような犯罪者が現れている以上、死刑より終身刑の導入が望ましいと思います」(40代後半・男性)
「執行する人がかわいそう」(30代前半・女性)
死刑に犯罪抑止力があると思う人が約半数 アムネスティは死刑の抑止効果を否定
調査対象者全員に死刑には犯罪抑止力があるかどうか聞いたところ、「思う」という人が48.1%だった。しかし国際人権NGO「アムネスティ・インターナショナル」は「死刑には、他の刑罰に比べて特別な抑止効果があるとはいえない、というのが今日の世界における共通の認識」だとしている。
フランスでは1981年に死刑が廃止されたが、その前後で殺人発生率に大きいな変化はない。死刑には犯罪抑止効果があまりないことがわかる。
三和書籍は死刑制度についての知識を持っているかどうかも調査した。2017年末時点で、世界の106か国がすべての犯罪において死刑を廃止し、142か国が法律上あるいは事実上、死刑を廃止している。このことを知っている人は56.3%、知らない人は39.2%だった。
また欧州連合(EU)基本権憲章には、『何人も死刑に処されてはならない』との規定があり、EU加盟28カ国はすべて死刑を廃止している上、死刑廃止はEUの加盟条件となっている。このことを知っている人は40%、知らない人が58.4%だった