なぜアラフォー氷河期世代の給料は上がらない? エコノミストが解説、「2040年問題」の解決策は「移民受け入れ」
8月25日に放送された『田村淳の訊きたい放題!』(TOKYO MX系)に、第一生命経済研究所経済調査部の首席エコノミスト・永濱利廣氏が出演。今も昔も割を食い続けるアラフォー氷河期世代の現状と「2040年問題」について語った。
永濱氏は「実際にデータを見ても明らかに影響が出ていて、世代別の賃金の上昇率を見ると全体では上がっている。でも、30代後半から40代前半のところだけ下がっている」とアラフォー世代だけ給料が下がっていると指摘する。(文:石川祐介)
いい会社に入れず、入れても上が詰まっているから出世できない
「(アラフォー世代は)就職が厳しかったので、給料の高い企業に入れる人がそもそも少なかったということと、低い給料のところに入ったら結構転職しちゃうじゃないですか? そうすると、日本の会社は長く働かないと給料は上がらないっていうのもある」
「前がバブル世代で企業が大量に採用したので、良い企業に入った人も上が詰まっていてなかなか出世できない」
そもそもアラフォー世代が社会に出た2000年前後は就職氷河期。いい企業に入ることができずに転職を繰り返し、結果的に給料が上がりにくくなった人も少なくないという。優良企業に入ったとしても、上の世代が多くいるため出世できないと、どう進んでも給料が良くならない八方塞がりの状況にさらされてきたようだ。
ただ、国もこの世代に向けた対策をとっていると話す。
「35歳以上で何回も転職しているような人を企業が正社員として採用すれば、その企業に最大60万ぐらい補助しますとかやっている。いろんな自治体もアラフォーぐらいの人達向けに、就職支援のセミナーをやってるんですけど、なかなか全体的な改善というとまだまだ難しい」
補助金を出しても企業が採用を渋る理由については「これぐらい世代の人達って、企業にうまく入れてないんで、仕事をしながら教育されている人が少ないんですよ」と指摘。そもそも、社会人としてキャリアを積むこと自体が困難だったので、しっかりしたスキルを持っている人は限られてているという。
オーストラリアでは移民政策で地方創生に成功
番組では、将来、団塊ジュニア世代・ロスジェネ世代が65歳以上になり日本の高齢者の人口がピークになる「2040年問題」についても触れていた。
2040年には。社会保障給付費(年金や医療費など)は現在の1.6倍まで膨れ上がり、単身世帯の高齢者の数も増加。2035年には高齢者の3割が生活困窮世帯になると予想されており、早急な対策が求められている。
ただ、2040年問題を迎える前に、アラフォー世代はまた別の問題に向き合わなければいけないという。
「パラサイトシングルって言って団塊の世代の親達が結構収入があったので、親の脛かじってきたんですけど、そういった親がすでに70代に入ってきてリタイアして、年金暮らしになってくる」
「これまでみたいに脛かじれないので、2040年の前にパラサイトシングルの人達をどう支えるか」
その上で、パラサイトシングル問題や2040年問題の解決には「支える側をもっと増やす」と口にする。そして、その方法を永濱氏は「移民の受け入れ」と考えているようだ。
「実際にオーストラリアが移民で地方創生に成功しています。地方に限定した学校に留学した人達には永住権の発給要件を緩和するっていうことをやっている。私も前から日本でもやればいいのになって思うんです」
移民を地方に受け入れれば、急増する高齢者を支える人手不足が解消され、2040年問題を乗り切ることができると語った。