大坂なおみ選手のラケットが「市販品」って本当? YONEXに仕様を聞いてみた
「大坂選手は、多くのプロ選手が好むように、ラケットのグリップ部分に最初からレザーが巻いてある仕様になっています。この仕様の製品は一般には流通していません。しかし、それ以外の部分は市販品と同じです」
ガットは市販品で間違いないという。縦糸は、ポリエステルで出来た「POLYTOUR PRO125」(定価2300円プラス税)、横糸は、ナイロンとポリウレタンで出来た「REXIS130」(定価2800円プラス税)を使用している。牛の腸などで出来たナチュラルガットと比べると、価格は3分の1から4分の1だ。
大坂選手と同じ仕様にしたければ、「元グリップのテープを外し、自分でレザーテープに貼り替えればそれらしくなる」という。選手のラケットには内側に5グラムの重りが付いているが、これは利用者が個々に調整するほうが良いだろう。
同社の販売する本革テープ(定価1800円プラス税)も合わせると、大坂選手仕様に限りなく近いラケットは5万円以内で完成する。
ラケットもガットも爆売れの予感「ベスト16入りした頃から問い合わせ増えている」
担当者によると、プロの選手が市販品を使うのはかなり珍しいことだという。
「通常、契約選手にはまずは市販品を使っていただき『シャフトの柔らかさが欲しい』『もう少し飛びが欲しい』などのフィードバックをもらった上で、選手ごとにカスタマイズするのが普通です。大坂選手も、何回か色んなモデルを試しているとは思いますが、その中でも一般的な仕様のものを気に入り、使っているのだと思います」
優勝とグランドスラム達成は、製品の売れ行きにも影響を与えそうだ。大坂選手がベスト16入りした9月2日頃から、スポーツ用品店からの問い合わせが増えているという。
「ゼビオやアルペン、ヒマラヤなどの大型店舗から『発注数を増やしたい』『在庫が少なくなっている』という声は来ていました。現在(編集部注:9月10日正午頃)の状況はまだ確認出来ていませんが、問い合わせは来ていると思います」
一部報道では、大坂選手が優勝した場合、同社はオリジナルモデルを作る予定だとも言われたが、担当者は「今のところ、作る予定はありません。ちょっと盛って書かれてしまいました」と報道内容を否定した。
ネットでは、市販品とほぼ変わらないラケットで優勝を勝ち取った大坂選手に、「(決勝戦で)特注をたたきつけたセリーナとは大違い」「特注品だと思ってた」と驚く声が上がっている。