景気回復が「いざなぎ超え」ってマジ? 超えたのは期間だけ、実質成長率には大きな違い
それもそのはずだ。今回「いざなぎ超え」と認定されたのは景気拡大の長さであって、成長率ではないからだ。
いざなぎ景気時の実質成長率は平均11.5%だった。マイカー、カラーテレビ、クーラーの「3C」が急激に普及し、GNPがアメリカに次いで世界2位になったのもこの頃だ。しかし、内閣府が今年4月に出した資料によれば、2012年12月から今年4月にかけての実質成長率は1.5%と低い。
人口増加によるボーナスタイムだった高度経済成長期と現代の成長をどう比べるかという難しさはあるが、少なくともかつてのいざなぎ景気時のように、国民生活が底上げされるような変化は見られない。ツイッターでも、
「確かに景気は悪くない。不景気時代のどうしようもない感じでは、少なくともなくなった。だが、これが好景気かと言われると頭をかしげる」
「全く給料上がらない。税金ばっかり上がってるから実際はマイナス」
「景気が良いなら、増税する必要ないし、高齢低所得者の医療費補助も廃止する理由が無いよな」
「いつどこで景気が回復したのか」
といった声が多く出ている。
政治家からも疑問の声が挙がっていた。前参議院議員の金子洋一氏はツイッターで、
「かつて経企庁でこの作業を担当したものとしてまったく賛成できない。消費増税後にGDPの5割強を占める家計の消費が大幅に下落したことを無視することはナンセンス。指標自体の見直しが必要だ」
と呟いていた。来年1月まで景気回復が続いた場合、戦後最長の74か月間の好景気になる見込みだ。10月には消費税が10%になり、景気の冷え込みが予想される。国民が景気の良さを実感できるのはいつになるのだろうか。