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「クロネコメール便」が3月末で廃止 顧客が「容疑者」になるリスクを避けるため

ヤマト運輸が、3月31日の受付分をもって「クロネコメール便」のサービスを廃止すると1月22日発表した。廃止の理由は「生活者が突然容疑者として刑事手続きに巻き込まれるリスクを一日も早く取り除き、安心して便利なサービスを利用できる社会を実現するため」(同社プレスリリースより)。

日本郵便でしか扱いが許されていない「信書」をメール便で送る顧客が相次ぎ、顧客が郵便法違反で書類送検されたり警察に事情聴取を受けたりしたケースが生じていることから、サービスの停止を決めたという。

「信書」判断基準の変更提案が受け入れられず決断

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同社の資料によると、信書とは「特定の受取人に対し、差出人の意思を表示し、又は事実を通知する文書」のこと。具体的には「書状」や「請求書類」「会議招集通知類」「許可書類」「証明書類」「ダイレクトメール」を指すとされる。

これらを宅配便などで送ると、荷物を預かった運送業者だけでなく、送った顧客も罰せられる。2009年7月以降、メール便で信書を送った顧客が郵便法違反で書類送検されたり、警察に事情聴取を受けたりしたケースが計7件もあったという。

しかし、例えば同じ「履歴書」であっても、企業から応募者に返送するときには信書ではないが、応募者から企業に送るときには信書であるなど、判断が非常に難しいのが現状だ。

そこで同社は総務省の検討部会に、内容物によってではなく「誰もが見た目で判断できる」基準への変更を提案したが受け入れられず、顧客が「容疑者」になるリスクをこれ以上放置することは、同社の「企業姿勢」と「社会的責任」に反するとし、サービス廃止決定に至ったとしている。

4月以降は「新サービスまたは他社のサービスへの切替を」

なお代替サービスとして、企業向けにはカタログやパンフレットなどの「非信書」に限定し「クロネコDM便」と名称変更してサービスを続ける。個人には「小さな荷物」を手軽に利用できるサービスを拡充するとしている。

ヤマト運輸が顧客に向けてHP上に掲載したメッセージは以下の通り。

「お客さまが知らないうちに信書を送ってしまうリスク」をふせぐために、本年3月31日の受付分をもって、クロネコメール便を廃止いたします。

郵便で送ることは許されても、メール便で送ると罪に問われ、罰せられる書類があります。「手紙」です。

法律では「信書」と呼ばれていますが、メール便で送ることを許されている「冊子や書類」との区別が曖昧なうえ、近年、個人向けにカスタマイズされたビジネス書類の増加によって、管轄する総務省の窓口に問い合わせても、その書類が信書なのかどうか即答できない事例が多発しています。

この問題は、多くの識者が指摘しており、政府も専門委員会を設置し、何度も議論の場が用意されました。私たちもトラブルの予防に努めながら、現実的な解決策を専門委員会に提案しましたが、その度に規制の見直しは見送られました。

法違反の認識がないお客さまが罪に問われるリスクをこれ以上放置することは、当社の企業姿勢と社会的責任に反するものであり、現在の規制が変更されないままではお客さまにとっての「安全で安心なサービスの利用環境」と「利便性」を当社の努力だけで持続的に両立させることは困難であると判断し、クロネコメール便を廃止する決断に至りました。

クロネコメール便をご利用いただいている多くのお客様へ、あらためてお礼を申し上げるとともに、お手数をおかけしますが、4月以降は新サービスまたは他社のサービスへの切替をお願いいたします。

代替サービスとして、カタログやパンフレットなど「非信書」であることを事前に確認できた法人のお客さまには、運賃体系を見直したうえ、本年4月1日より「クロネコDM便」と名前を変えて、サービスを継続します。また「小さな荷物」をやりとりするニーズにお応えするため、4月1日より宅急便のサービスを拡充いたします。

あわせて読みたい:告発!独立行政法人のひどすぎる「アカハラ」実態

 
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