ふるさと納税のお礼にギフト券、自治体職員の9割「反対」 「応援のお礼に地域の感謝を込めて贈るのが本来の返礼品」
ふるさと納税総合サイト「ふるさとチョイス」を運営するトラストバンクは2月8日、「ふるさと納税のお礼の品に関する調査」の結果を発表した。調査は7日、同社が契約する1459箇所の自治体の職員を対象に実施。全国で利用できるギフト券などをお礼の品にすることに対して、94%が反対の立場を示した。
ふるさと納税を巡っては、大阪府の泉佐野市が先日、「100億円還元閉店キャンペーン」を実施。特設サイトからふるさと納税すると、返礼品に加え最大で寄付額の20%分のアマゾンギフト券がもらえるというものだが、石田真敏総務相が厳しく批判するなど、物議を醸している。
「地場産商品の少ない自治体はギフト券が使えるとありがたい」という声も
反対理由には、ギフト券を渡すことがふるさと納税の主旨から外れる、という内容が多かった。
「税法上の恩恵がある以上、『地場産品』のある程度の定義や、そもそものふるさと納税制度とは?という部分を意識する必要がある」
「寄附してくださった方へ、応援していただいたお礼に地域の感謝を込めて贈るのが本来の返礼品。元々は寄附を集める道具ではなかったはず。(中略)返礼品のお得感のみを強くアピールするような手法は、制度の意義に賛同して制度開始当初からふるさと納税で各自治体を応援してきた多くの寄附者の想いとずれてしまっているのでは」
「ギフト券や旅行券などを『出品したもの勝ち』のように出品して寄付金を得るのは、通知に従う自治体が『正直者が馬鹿を見る』形となる」
全国で使える金券には反対だが、「地域を限定して利用できる券をお礼の品とすることは大いに賛成」という声もある。
「地域振興券は、実際にその町を訪れて使用されるため、地域にお金が落ちるし、その町を知ってもらうきっかけとなると考える」
一方、「どちらかといえば賛成」「賛成」と答えた人からは、
「地場産商品の少ない自治体にとってはそれが使えるとかなりありがたい。地場産商品に富んだ自治体であればいらないと思いますが、事業者数も少なく、返礼品数に限りがあることから、必要」
という声も挙がっている。「規制がなければ全ての自治体が提供すればよい」、「創意工夫の範囲内ではないか」という意見もあった。
総務省は2017年、自治体に、返礼率を3割以下にするよう通知を出した。2018年には返礼品を原則として地場産品とするよう求めるなど、制度運営の工夫が続いている。自治体間の「返礼品競争」が加熱していることもあり、法改正の議論も進められている。