ザバッグさんは、関西在住の30代男性。これまでに、複数の鉄道会社で駅員として5年ほど働いてきた。同作については「フィクションとして読んでほしい」としながらも、ほぼすべて実体験を元に描いている。漫画化を決めたきっかけについては
「『100日後に死ぬワニ』を目にした時に、100日間継続してスパッと終わらせるやり方に衝撃を受けました」
と語った。美大を卒業したザバックさんは絵や漫画を描くことに抵抗がなく、またブロガーでもあるため毎日何かを継続させることが好きだったという。
ザバックさんは「これまでには漫画を含め、鉄道会社を題材にした作品はいくつもありますが、内部事情をさらけ出しているものはありませんでした」と話し、駅員として働いたリアルな経験を生かして面白くおかしく描くことを決めたという。
作中には、男たらしの女性社員やパワハラ上司といった個性豊かなキャラクターが多く登場する。注目すべきは、これらの登場人物にいずれも具体的なモデルがいることだろう。
「うちの職場でもあるわ」「読んでいてつらくなる」
100日間にわたる連載のうち、最も印象に残っているのはヒロイン・ペン美をめぐるファンからのリプライだという。25日目からペン助と交際を始めるペン美は、入社式でペン助が一目ぼれしてしまうほどの美貌の持ち主。ところが、交際開始からしばらくして、他の同期にも手を出していたことが判明する。ザバックさんは
「当時勤めていた会社にも、男の子を”取っ換え引っ換え”していた社員がいました」
とやはり実在したモデルがいたことを明かす。ところが、全国のフォロワーの駅員たちから「うちの職場にもいる」という声が多く寄せられたといい、「意外にも鉄道会社あるあるだった」と振り返る。
ザバックさんによると、鉄道会社はまだまだ男性の比率が高く、男社会。そのため、こうした立ち位置の女性社員が生まれやすいのではないか、と推測していた。
作品の反響は大きく、ザバックさんのフォロワーは連載開始時の約200人から現在の3400人にまで増えた。このほかのエピソードに関しても、リプライ欄では
「うちの職場でもあるわ」
「読んでいてつらくなる」
といった声が多くみられたという。同作を通して、駅員の仕事の裏側を始めて知ったという人は多いらしく、身内からも「駅員ってただ立っているだけだと思っていたけど、大変なんやな」と同情の声が寄せられたそうだ。
現在は同人誌制作中 新たなエピソードも
同作はすべてiPad上で制作。連載開始直後は早起きして出社前に描いたり、出張前には一日に3日分をまとめて仕上げることもあったという。
また、ザバックさんは「今の仕事も3か月で10日間しか休みがなかったりで、なかなか時間が取れないんですよ」と明かし、有給休暇を取得して描くこともあったようだ。100日間の連載中は遠出して遊びに行くこともなかったといい、連載が終わった現在については
「燃え尽き症候群で何もする気が起きなくて」
と心境を明かした。
だが現在は、100日間に描き切れなかったエピソードを詰め込んだ同人誌を制作中。ザバックさんは「ツイッターなどで今年中に発表したいと思っています」と話しており、ファンにとっては大きな楽しみになる。