上場企業の財務諸表から待遇を探る「これだけもらえる優良企業」シリーズ。今回は、ファミリーレストラン「ロイヤルホスト」などを展開するグループの純粋持株会社、ロイヤルホールディングス(東証一部)を取り上げます。
ロイヤルHD社員の平均年収は708万円
最新データ(2019年12月期)によると、ロイヤルHD社員の平均年間給与は708.3万円。4期前より240万円あまりも増えていますが、この理由については後述します。
- 2015年12月期:467.4万円
- 2016年12月期:510.5万円
- 2017年12月期:524.1万円
- 2018年12月期:538.6万円
- 2019年12月期:708.3万円
この額には基準外賃金(手当等)および賞与が含まれています。
ロイヤルホールディングスの売上高は継続的な出店を行っていたこともあって、2019年12月まで右肩上がりに伸びています。しかしコスト増をカバーできず、営業利益は2017年12月期をピークに2期連続減益となっています。
2020年12月期はコロナ禍の大打撃を受けて、売上高は前期比40.0%減の843億円に。営業損益は193億円の赤字、275億円の最終赤字に落ち込みました。
ロイヤルHDの報告セグメントは「外食事業」「コントラクト事業」「機内食事業」「ホテル事業」「食品事業」「その他事業」の5つ。
2020年12月期の売上高構成比は、外食事業が51.8%、次いでコントラクト事業が20.8%、ホテル事業が15.7%。前期比の落ち込みでは、機内食事業が最も大きく75.6%減。ホテル事業も同53.8%減と半分以下となり、セグメント利益ではすべての事業が赤字に転落しています。
ロイヤルHD社員の平均年齢は46.7歳
次に、従業員数と平均年齢、平均勤続年数(ともに単体)を見てみましょう。
ロイヤルHD社員の平均年齢は46.7歳。ざっくり言うと、40代半ば過ぎに700万円台をもらう人が多いということでしょうか。
- 2015年12月期:108人(36歳・6.3年)
- 2016年12月期:124人(36.2歳・5.8年)
- 2017年12月期:117人(36.9歳・6.1年)
- 2018年12月期:127人(35.8歳・5.3年)
- 2019年12月期:72人(46.7歳・9.1年)
ロイヤルHD本体(単体)の従業員数は、2019年12月期から急減しています。これはロイヤルHDで一括採用していた新入社員について、グループ子会社への配属を早期化したことで本体の従業員数に含まれなくなったことによるものです。
これに伴い平均年齢が上昇し、平均年間給与も急増することになったわけです。
グループ全体(連結)の従業員数は、2015年12月期の2,538人から2019年12月期の2,706人へと168人増加。一方パート・アルバイトは、9,967人から9,071人へと900人近く減っています。
外食事業は、主力の「ロイヤルホスト」のほか、天ぷらの「てんや」、ステーキ・ハンバーグの「カウボーイ家族」、ピザの「シェーキーズ」、グリルの「シズラー」、英国風PUBの「HUB」といったチェーン店などを展開しています。
コントラクト(受託)事業は、空港ターミナルビル、高速道路SA、コンベンション施設、オフィスビル、医療介護施設、百貨店、官公庁等で飲食業態を展開。機内食事業は、関西国際空港、福岡空港および那覇空港等において、国内外の航空会社より機内食の調製・搭載等を受託。ホテル事業は、全国に「リッチモンドホテル」等のビジネスホテルを43店舗展開しています。
双日が筆頭株主となり新たな展開も
ロイヤルHDの中途採用サイトには、店長、料理長、ホテル支配人、製造マネージャー候補の求人が掲載されています。ただし勤務先は全国のロイヤルグループ店舗で、勤務会社は各子会社となります。
なお、昨年10月には本体および子会社9社に在籍する50歳以上64歳以下の社員を対象とした早期希望退職者を200名程度募集したところ、12月までに315人が応募しました。
2月15日には総合商社の双日が第三者割当を引き受けて筆頭株主となりましたが、これを受けて海外展開や冷凍食品の輸出などで協力するのではという報道も出ています。
飲食業の現状は厳しいですが、ポストコロナに向けてビジネス開発やキャリアチェンジをしたい若い人には魅力的な職場となるかもしれません。
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